ブラケット矯正開始~終了(叢生症例)
こんにちは、桜新町グリーン歯科・矯正歯科院長の岡本です。
今回もブラケット矯正(ワイヤー矯正)の実症例を使って、分かりやすく説明していきたいと思います。
最近矯正について患者様から頂いた質問もいくつか紹介したいと思います。
質問:ワイヤー矯正中はMRI撮影や頭部CT撮影できますか?
回答:歯の表面に付いているブラケットやワイヤーは外さなくても大丈夫です。
矯正器具にはチタンやステンレスという金属を使用しているためMRIには影響ありません。
お口の中の保険適応のかぶせ物や詰め物なども特に影響はないとされています。
ただし、金属が映像に写ってしまうため画像が見にくくなることはあるので、その場合は
検査の前に放射線技師に伝えておくのがよいでしょう。
質問:妊娠中や授乳中は歯科矯正受けられますか?
回答:受けられます。マウスピース矯正は特に気になる方はいないと思いますが、ワイヤー矯正の場合
は金属が胎児や母乳に影響ないのかと疑問に思う方もいるかと思います。
上の質問にも記載したように矯正で使う金属は生体親和性が高いもの、つまり身体にやさしい金属
とされているため心配する必要はありません。
もちろん稀に金属アレルギーが重度の方もおりますので、その場合はアレルギー検査を行い
マウスピース矯正などを選択していただけるとより安心だと思います。
質問:歯の上に付けるブラケット装置の種類は選べますか?
回答:当院では基本上下前歯12本はセラミックブラケット、奥歯は金属ブラケットを使用しております。
別途で小さい奥歯(4,5番の歯8本)もセラミックにしたい場合は+3万円で可能です。
大臼歯は負荷がかかりやすいため、金属のほうが欠けにくくしっかり矯正力を発揮できます。
質問:ワイヤーは白いものですか?銀色のものですか?
回答:この質問はよくいただきます。個々の歯並びにもよりますが基本最初は矯正に慣れるために
力が弱い細いワイヤーを使っていきます。このときは白いコーティングをしているため白いワイヤーです。
しかしこの白いワイヤーは力が弱いため歯を一本一本動かす力が足りません。
なので、矯正の中盤~終盤は固い四角い銀色のワイヤーを使います。この期間内はどうしても最初よりは
目立ってしまうので、戸惑う方もいます。
矯正治療期間中は少なからず目立つので、後の綺麗な歯並びのためだと思って共に頑張っていただけたら幸いです。
実症例(叢生)
- 年齢:29歳
- 性別:女性
- 主訴:前歯のガタガタがきになる。
- 診断:上下前歯の叢生および上顎前突
- 治療方法:ブラケット矯正(上下顎)
- 治療期間:1年4か月(通院20回)
- 治療料金:821,000円(矯正基本料金+毎月調整費+リテーナー費)税込
- リスク・副作用:歯を動かす際に違和感や多少の痛みを伴うことがある。矯正装置を装着するため、虫歯や歯肉炎になるリスクが少々高まる
それでは写真付きで解説していきます。
まずは初診時の写真になります
上下の右2番目の歯がかなり内側に入っているのがわかると思います。
また上の犬歯が八重歯ぽくなっています。
この写真から分かる問題点は3つあります。
- 上下右2番が中に倒れていて、かつ3本の歯が重なり合っていて右下の2番が一番奥に閉じ込められている
- 上下の歯が並んでいる歯列が台形になっていること。きれいな歯並びは楕円形になります。
- 左右の写真をみると、奥歯がすべて前倒れになっていて、歯が全体的に前に傾いている。
- 写真では分からないが、レントゲンより親知らずが4本ともある状態。
患者様の希望はできるだけ非抜歯で矯正をしたいとのことでした。
そこで4本の親知らずはレントゲンより傾いており、今後も綺麗に生えてこない可能性が高かったため
お口の中に出ている歯は抜かないで、親知らずを4本抜いて矯正をスタートしました。
4か月後の写真になります
上の歯並びが4か月でかなり綺麗になったのがわかると思います。
下の2番は一番奥に閉じ込められていたので、この段階ではまだ内側にいます。
白いコイル(バネ)で歯が入る隙間を作っているところです。
また左下奥も小臼歯が内側に倒れていたので、それを起こすようにコイルをいれて隙間を作っています。
本来歯並びを広げると前歯も前に出てしまうのですが、親知らずを抜いているおかげで
前歯は大きく前に出ずに、全体的にバランス良く広がってくれました。
矯正開始から8か月の写真です
さらに4か月たった写真になります。
下の前歯や左の奥歯の隙間ができて、歯がきれいに並んだことがわかると思います。
上下別々で見ると矯正前とは大きく変わり綺麗になったと思います。
しかし、矯正は見た目だけでなく上下の歯のかみ合わせも大切です。
この段階で残された問題点は
- 奥歯が噛んでいるのにもかかわらず、上下の前歯に隙間があります。
- 前歯同士が当たりすぎているため、後戻りの危険性が高い。
- 歯と歯との間の隙間が残っているため、物が挟まりやすい。
そこで、ゴムメタルというワイヤーを使い、上下のかみ合わせおよび歯並び全体を後方に動かすように
していくことになりました。
さらに半年ゴムメタルを使った写真になります。
前歯同士の隙間は無くなり、かみ合わせもかなり良い感じになったのが写真でわかると思います。
歯の真ん中の正中も矯正前はかなりズレていたのが、今は上下ぴったり真ん中で合っています。
患者様本人はこの状態で大満足だったのですが、ワイヤーを即座に外すと戻りやすいので
この状態で2か月固定する意味でワイヤーを付けていました。
最後に装置を外した写真になります。
歯並びの見た目もかみ合わせもすごくきれいになり、1年4か月かかった矯正が終わりを迎えました。
最後は前歯の裏側に舌側ワイヤーをつけて、寝るときだけ使うリテーナーを使っていただくことになりました。
矯正後は定期健診で来院していただき、その後の問題が起きないか、後戻りがないかをチェックしていく予定です。
いかがでしょうか。
今回はよくある症例ケース、歯並びだったのではないかと思います。
多くの歯医者さんは
4番目の歯を4本、後戻り防止のために親知らず4本
計8本歯を抜く診断になるんじゃないでしょうか。
しかし、使える4番目の歯を抜かなくても、ここまで綺麗に矯正することができました。
ぜひ今「矯正したいけど、抜歯はしたくない」と思っている方いましたら、ぜひご相談ください。