口腔機能発達不全症 part3 口唇閉鎖不全
6月を過ぎて学校歯科健診後のためか、院内にお子さんの患者さんが増えてきました。
学校健診の項目にはむし歯や歯肉炎以外に歯列、咬合があります。
歯医者さんでは歯列不正がみられる時、何が原因かを考えます。
原因の中には遺伝や器質的なもの、そして口腔機能発達不全症などの機能的なものがあります。
口腔機能発達不全症の中でも口唇閉鎖不全は疫学的に小学生の30〜50%に見られるという報告もあるので、決して珍しいものではありません。
お子さんの口元をチェックしてみて当てはまることはないでしょうか。
口唇閉鎖不全とは
漢字のままで、口が閉じられない状態、お口がポカンと開いている状態のことです。
何かに集中している時に口が開いてしまってないですか?
口腔機能発達不全症があると口腔周囲や咀嚼の時に使う筋肉の運動量が低下しているため、表情が乏しくなる場合があります。
○安静時
*唇が富士山の形
上唇が上向きに捲れて、上の前歯が見えている状態
*唇が乾燥している
お口が開いていることで乾燥しやすかったり、乾燥するため唇を舐めて、更に乾燥を促してしまう場合があります。
○閉口時
*顎先に緊張感がある
*開いているお口を閉じようとすると、上唇よりも下唇が迎えにいくように動く
*唇を閉じたラインがへの字になりやすい
○嚥下時
*ご飯や水分を飲み込む時に口輪筋(口の周りの筋肉)が緊張している
これは本来は嚥下時は舌を挙上させて飲み込むところを、口輪筋を使って嚥下しているためにみられます。
*舌を上下の唇や歯の間から出している。(舌の突出、低位舌、幼児嚥下)
ストローを使って飲む時やペットボトルでラッパのみする時も舌を出していたりしませんか。
1歳半を過ぎると「幼児嚥下」といって舌を突出させる嚥下から「成熟嚥下」といって舌を挙上させて口蓋とくっつけ奥歯で噛む嚥下に変わっていきます。
舌の筋力をうまく獲得できていないために、幼児嚥下のままになっているかもしれません。
○舌
*舌苔がみられる
舌苔とは舌に苔のような白いものが溜まっている状態です。
この白いものは細菌や食べカスなどが集まったものです。
舌背と口蓋が接触するタイミングが平均よりも少なくなるため、舌苔がたまりやすくなります。
⚪︎発音
*舌ったらず
構音は成長に伴って発達しますが、だいたい5歳くらいで完成すると言われています。
唇の筋肉が弱いと両唇音(パ行、バ行、マ行)といって唇を使った発音が苦手になりやすいです。
また本来は舌の先を上の歯や歯肉に当てて発音するサ行、タ行が上下の歯の間から見えるように発音してしまい、英語の/th/音のような歯間化構音になります。
保護者様へ
小学校に上がるくらいになっても舌ったらずな発音の場合は一度歯医者さんで口腔内を見てもらうのもいいですね。
歯列や噛み合わせ、舌によるものなのか習癖によるものなのか、原因は様々です。
私達のクリニックでは単に床矯正をするだけではなく、日頃の食生活や姿勢などの癖にも注目しています。
歯列や咬合を矯正治療、むし歯の治療などで「形態的」に対応しながら
運動訓練を行い「機能的」にもアプローチをしていきます。
生活に寄り添いながら、アドバイスをさせてください。
歯科医師、歯科衛生士、管理栄養士それぞれの得意分野からお話しをしていきます。
来院をお待ちしております。