歯の痛みはどこから来るの?歯の炎症と痛み

歯の痛みはどこからくるの?

  「歯が痛い」とはどういう状況で何が起こっているのでしょうか。
歯の中には「歯髄」という 痛みを伝える構造があります。
いわゆる「歯の神経」です。これがダメージを受けると「歯の痛 み」として現れてきます。歯の構造を見ていきましょう。
  歯は3層構造になっており、外側から

エナメル質

象牙質

歯髄

の順になっています。
歯の構造 歯髄 エナメル質
その周りに歯と骨をつないでい る歯根膜という繊維が歯を取り囲んでいます。
つまり、歯の 神経(歯髄)は通常外側に2層分のバリアに守られています。
しかし、歯髄自体の空間は狭く、 圧力が逃げにくいため、虫歯 などの何らかの刺激が加わると容易に壊死に陥ります。

歯の痛みの原因

では、歯の痛みの原因は何でしょうか。それは

歯髄(歯の神経)の炎症

もしくは

歯根膜(歯の周りの繊維)の炎症

です。

炎症が続くと歯髄は壊死し、 最終的には何も感じなくなります。

歯の炎症が起こる3種類の原因

炎症が起きる背景には3種類の原因が考えられます。

細菌感染

一 つ目は細菌感染です。いわゆる「虫歯」や「歯周病」のこ とです。
細菌の作り出す毒素や代謝産物が歯髄を殺してい きます。
この時に激しい痛みが発生するのです。

物理的な刺激

二つ目は物 理的な刺激です。
これは歯の象牙質を削った時に起こる発 熱や振動といった刺激や象牙芽細胞の損傷、象牙質の乾燥などが原因となることが多いです。
またスポーツや交通事故に よる外傷でも同様の物理的な刺激が加わり、歯の痛みが出ることがあります。
歯の脱臼の場合は、 歯髄内の血管が断裂することにより虚血に陥り、歯髄が壊死することもあります。

科学的な刺激

三つ目は化学的 な刺激です。
歯科材料(エッチング材, 未重合モノマーなど)の化学的な刺激が象牙細管を経由して 歯髄を刺激することにより痛みが出ることもあります。
歯の痛みの種類にも様々あり、炎症の部位や炎症の進行程度に応じて痛みの種類は段階的に変 わってきます。

歯の神経を取らなくてよい痛み

 では、「神経(歯髄)を取らなくて良い程度の痛み」とはどういったものでしょうか。
基本的には自発痛がない(=何もしない時には痛くない)ことが前提となります。
その上で、刺激時 に数秒~数十秒程度で治るような一過性の痛みであれば、 一時的な歯髄の炎症と考えられるので、 痛みの原因をとって様子を見ることで改善することが期待できます。
また、 同時にこの状態の目安 として「冷たいものや甘いものは染みるが温かいものは染みない」といった現象が起こります。

歯の神経を取る必要がある痛み

逆に、 神経を取る処置(抜髄)が必要な痛みの目安は、 持続的に何もしなくても拍動性の痛みが続い ていたり、

温かいものでも染みる

噛むと痛い

夜に激しい痛みが出る

といった症状が出ていること です。
これは神経が壊死を起こし始めているサインなので神経の処置が必要な状態です。
  神経治療(根管治療)した歯は、 歯の中に神経や血管がなくなってしまっているので強度の低下や 変色などの審美的な問題など二次的な問題を引き起こします。
なので私たち歯科医師も慎重かつ 適切に神経治療のタイミングを見極めています。

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