不正咬合の原因は?子供の頃にできる予防
子供は成長発育が活発ですが、その反面悪習癖の積み重ねが不正咬合の原因となります。大人が見守り声かけをすることが歯列不正の予防になります。
近年、矯正治療を行なっている方が増えています。矯正が必要になった原因が子供の頃の口腔習癖の場合があります。
口腔習癖とは・・・
日常の生活の中で無意識に行なっている口に関連した習慣行動をいいます。口腔習癖は小児期の心理的な問題・性格と関連性があると言われています。小児期の口腔習癖の種類は様々ですが、代表として指しゃぶりがあります。
1.指しゃぶり=吸歯癖(発現率:13.5%)
指を前歯で咥えて吸う癖を言います。親指を吸うことが最多、1〜2歳で30%発現し5歳で10%9歳で5%以下に減少していきます。親指で前歯を押すため、上下前歯が前方に傾斜(開咬・上顎前突)、下の前歯はベロ側に倒れる(下顎前歯舌側傾斜)吸引力によって上下の骨が狭まる(歯列弓狭窄)等を誘発します。3歳までに終われば影響は少ないと言われています。吸われている指にはタコができてしまいます。
2.咬唇癖・吸唇癖(発現率:1.5%)
唇を噛んだり吸ったりする癖を言います。下の唇を噛む癖の場合上の前歯が傾斜出っ歯に、上の唇を噛む癖の場合下の前歯が傾斜出っ歯になります。上下唇を上下前歯の間に吸っている場合、開咬になります。噛まれている唇の周りが乾燥しているので、確認してみましょう。
3.咬爪癖(発現率:8.5%)
前歯で爪を噛みちぎろうとする癖。下の前歯で噛みちぎろうとするので、切端咬合(上下前歯の先同士が当たる状態)、開咬、前歯の間がすきっ歯になる(正中離開)が発現します。心理的不安要素が大きいと言われています。
4.歯ぎしり・ブラキシズム(発現率:13.9%)
睡眠中に歯ぎしりをする、起きていても無意識に食いしばっている癖。歯のすり減りを引き起こします。原因が不明な部分が多いとされていましたが、近年呼吸との関連性が見えてきました。正しい呼吸(鼻呼吸)のポイントは舌の位置です。正しい舌のポジションは舌全体が上あごにぺたっとくっ付いている状態です。舌圧により上顎の成長は促され、上顎の上にある鼻腔も成長することで呼吸がしやすく且つ中顔面の正しい成長につながります。舌を置くスペースがなく口の中が狭いと舌が喉の方に落ち込み、呼吸がしにくい環境になってしまいます。口の中のスペースを広げるためには、顎の発育を促す目的で硬いものをよく噛んで食べることも重要です。口呼吸をしているお子さんは意識して鼻呼吸になれるように意識して練習しましょう。以上口腔習癖により引き起こされる不正咬合をお話ししました。お子さんの成長を見守る一つの項目にしてみてください。
歯科医師 木村