睡眠時ブラキシズムの危険性・くいしばり・歯ぎしり
「朝起きると顎がつかれている」「噛むとたまに痛む」「首から肩にかけて肩こりがする」などの症状はありませんか?原因は寝ている間に無自覚に行われている「睡眠時ブラキシズム」かもしれません。
睡眠時ブラキシズムとは俗にいう食いしばり・歯ぎしりを指します。
睡眠時ブラキシズムをしている方の口腔内の特徴として
・著明な骨隆起・頬粘膜圧痕・咬耗・アブフラクションなどが挙げられます。
研究によると8%は自覚症状があるものの60%は無自覚であったとあります。患者様の中にも無自覚の方は多々いらっしゃいます。睡眠時ブラキシズムにも大きく分けて2種類あり、音を鳴らさないクレンチングとぎりぎりと音の鳴りやすいグラインディングがありますがベッドパートナーがいる場合でもクレンチングは見つかりにくいかもしれません。
通常覚醒時の最大咬合力は体重と同程度と言われていますが、睡眠時ブラキシズムは最大咬合力を超える力を発生しているといわれています。
睡眠時ブラキシズムによる強い噛みしめにより引き起こされる症状を4つ上げます。
1.咬耗
加齢や生活の変化・ホルモンバランス等によるストレスや無呼吸などが原因となり夜間の食いしばりが強くなり自らの歯牙をすり減らしてしまいます。歯の表面にいるエナメル質を消失させ象牙質が露出した場合、知覚過敏の症状が出る方もいます。
2歯や補綴物の破損・破壊
昔に治療した歯の多くにはメタルポストが使われています。現在は推奨されていません。なぜなら歯の破折を引き起こしてしますためです。メタルポスト自体が歯の破折を引き起こすのに加えて、オーバーな力は破折を助長するものとなります。
3歯周病の増悪
プラークコンロトールが出来ておらず炎症のコントロールができていない場合、睡眠時ブラキシズムによるオーバーな力とプラークの炎症により歯周組織破壊を引き起こします。
4顎関節症・緊張性頭痛
過度な噛みしめ・歯ぎしりは顎の関節の健常な位置よりも後方に移動させてしまうため、顎関節後方に存在する靭帯等を圧迫し顎関節症を引き起こしているといわれています。噛みしめ・歯ぎしりの時に使われる筋肉の中に‘側頭筋・咬筋‘があり、筋肉を過度に収縮させることで血液の循環を悪化し緊張型頭痛を引き起こしている場合があります。しかし、最近の研究では睡眠時のみならず覚醒時の食いしばり(TCH)との関連性が高いともいわれていますので、仕事や料理など何かに集中している時の食いしばりは意識的にやめましょう。
睡眠時ブラキシズムについてお話ししましたが、完全に無くす方法はありません。しかし、その力を最小限にし、歯や顎(生体)を守る方法としてナイトガードがあります。保険診療内での作成も可能ですので、気楽にご相談ください。