IE(感染性心内膜炎)とは?対策は?大切な予防歯科
IE・感染性心内膜炎とは
細菌の侵入した血液が心臓の内膜に付着し起こる炎症をいいます。細菌は心臓の弁膜に付着し増殖・イボになり弁膜を破壊したり、血液とともに飛ばされた先でまた付着し塞栓源になり他臓器に膿を作ります。人口10万人あたり5~10人と発症率は高くありませんが、一旦発症すると的確な診断のもと適切な治療を行わなければ多くの合併症を引き起こし、重篤化します。
血中に細菌が入り込むと、健常者の場合一過性に炎症が起きても自己免疫により炎症は抑えられるため感染性心内膜炎にはなりません。しかしリスクの高い疾患をお持ちの場合、予防的な抗菌薬内服を行う必要があります。
そもそも、血中に細菌が入り込む歯科的な治療とは?
出血を伴う処置全般で歯を抜く処置・歯石を取る処置・根っこの先の炎症をへの治療、インプラント、歯周外科処置等様々です。その中でも予防的な抗菌薬の内服をが推奨される処置として
・抜歯・歯周外科処置・インプラント・歯石除去・感染根管治療(根っこの治療) などがあります。
感染性心内膜炎のリスク分け
高リスク群=感染しやすく重症化しやすい
(1)人工弁置換患者(2)IE(感染性心内膜炎)の既往あり(3)複雑性チアノーゼ性先天性心疾患者(単心室・完全大血管転位・ファロー4徴候=肺動脈狭窄症、心室中隔欠損、心肥大、大動脈騎乗)(4)体循環系の肺循環系の短絡増設術を実施した患者
中程度のリスク=必ずしも重篤とならないが心内膜炎発症の可能性が高い
(1)先天性心疾患(2)後天性の弁膜症(3)人工ペースメーカーや埋め込み式除細動器などデバイス患者 など
低リスク
心房中隔欠損など
上記の中~高リスクに当てはまり、出血を伴い菌の侵入をを引き起す処置を行う抜歯は処置前に抗菌薬(ペニシリン系)を内服して頂く必要があります。
経口投与(飲み薬)可能であれば:第一選択としてアモキシシリン2g処置前1時間前に内服(カプセル250mg含まれるので8カプセル内服)
痛みがあり治療したくても、IE中リスク~高リスクの場合術前の薬の内服を要し治療ができない場合もあります。急な歯の痛みが出ずらいように定期的に検診・クリーニングを受けていただくことを強くお勧めします。また、IE(感染性心内膜炎)の原因菌の多くは口腔内細菌であるので、毎日のブラッシング・歯間ブラシ・フロスを使用し口腔内を衛生的に保つことは毎日できる予防ですので、心がけてください。
歯科医師 木村采香