歯ぎしり・食いしばりによる影響と口腔機能低下症の関係
口腔周囲筋や咀嚼筋が硬くなる原因である、歯ぎしり・食いしばり、そして口腔機能低下症(オーラルフレイル)についてです。
先日、口腔周囲筋に特化したデンタルエステの講座を受けてきました。この施術は口腔周囲や舌の筋肉を柔らかくするのにとても効果的です。
歯ぎしりや食いしばりは、多くの人が無意識のうちに行っている行動ですが、これらが続くと口腔内や全身にさまざまな影響を及ぼすことがあります。特に、強い力で歯をこすり合わせたり、長時間にわたって食いしばったりすることで、歯や顎関節、筋肉に負担がかかり、口腔機能低下症(オーラルフレイル)を引き起こす原因の一つとなることがわかっています。
歯ぎしり・食いしばりによる影響
まず、歯ぎしりや食いしばりが長期間続くと、歯がすり減ったり、ひびが入ったりすることがあります。これにより、知覚過敏や歯の動揺が生じたりする可能性があります。また、歯を支える歯周組織にも負担がかかり、歯周病が悪化することもあります。さらに、強い力がかかることで詰め物や被せ物が破損することも多くあります。
そして、歯ぎしりや食いしばりは顎関節や咀嚼筋にも大きな影響を及ぼします。大きな負荷がかかると、顎関節症の原因となり、顎の痛みや開閉時の違和感、口が開きにくいといった症状が現れることがあります。さらに、咀嚼筋・側頭筋の緊張が続くことで、頭痛や肩こりを引き起こし、頬のエラが張り顔が大きく見えることもあります。これらの症状は、口腔内の問題にとどまらず、全身の健康にも影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
口腔機能低下症(オーラルフレイル)との関係
口腔機能低下症とは、加齢や生活習慣などが原因で、口腔の機能が低下する状態のことをいいます。具体的には、咀嚼力の低下、唾液の分泌量の減少、舌の動きの低下などで、これらの機能が低下すると、食事の際にうまく噛めなくなったり、飲み込みにくくなったりします。口腔機能のささいな衰えが重なると、健康状態の悪化・身体の衰えにつながる可能性があります。
歯ぎしりや食いしばりが続くと、顎の筋肉が疲労し、咀嚼機能が低下していきます。強い歯ぎしりや食いしばりの習慣があると、筋肉が過剰に発達してしまい、逆に細かい動きが難しくなることもあります。また、歯の摩耗が進むことで咀嚼効率が低下し、食べ物をしっかり噛むことができなくなるため、口腔機能低下症のリスクも高まります。
対策と予防
歯ぎしりや食いしばりの対策としては、まず自分の癖を自覚することが重要です。日中に食いしばりをしている場合は、意識的に上下の歯をかみ合わせない、顎の力を抜くよう心がけるだけでも改善につながります。また、就寝時の歯ぎしり対策として、マウスピース(ナイトガード)を使用することで、歯や顎への負担を軽減することができます。
さらに、口腔機能低下症を予防するためには、バランスの取れた食事を摂ることや、よく噛んで食べる習慣をつけることが重要です。また、口の周りの筋肉を鍛えるトレーニングや、舌の運動を行うことで、口腔機能を維持・向上させることができます。
現在すでに顎の痛みや開閉時の違和感、口が開きにくい、頭痛がするといった症状のある方、舌運動が上手くできない、舌を正しい位置に置けない方は、口腔周囲筋・舌のマッサージを受けることで筋肉が柔らかくなり、動かしやすくなりなす。
当院でも行っていますので、ぜひご相談ください。
歯科衛生士 原田奈津子