20代、歯が一本無いワイヤー矯正で治した実症例
今回は20代の方で、左上3番目の犬歯が元々無く隙間を埋めるために
ワイヤー矯正で治したケースになります。
歯の先天欠損とは
- 通常、永久歯は親知らずを除いて28本ありますが、先天欠損では、何らかの原因で歯のもととなる「歯胚(しはい)」が作られず、歯の本数が少なくなります。
- 約10人に1人の割合で起こると言われており、珍しいことではありません。
- よく見られるのは、前から2番目の上の歯(側切歯)と、前から5番目の上下の歯(第二小臼歯)です。
原因
先天欠損の主な原因は、まだはっきりと解明されていませんが、遺伝的要因や胎児期の環境要因などが考えられています。
- 遺伝的要因:家族に先天欠損の人がいる場合、その子供にも起こりやすい傾向があります。
- 環境要因:胎児期の薬物摂取、栄養不足、感染症などが影響する可能性があります。
先天欠損による影響
先天欠損を放置すると、以下のような問題が起こる可能性があります。
- 見た目の問題:歯の隙間が目立つ、歯並びが悪くなるなど。
- 噛み合わせの乱れ:顎関節症のリスクが高まります。
- 歯並びの悪化:虫歯や歯周病のリスクが高まります。
- 乳歯が抜けずに残る:永久歯がないため、乳歯が抜けずに残り、結果的に歯並びが悪くなる場合があります。
治療法
先天欠損の治療法は、患者さんの状態や年齢によって異なります。
- 矯正治療:歯並びや噛み合わせを整えるために行います。
- 補綴治療:ブリッジ、入れ歯、インプラントなどで、欠損部分に人工の歯を補います。
- 歯の移植:親知らずなど、不要な歯を欠損部分に移植する方法もあります。
早期発見と定期検診の重要性
先天欠損は、早期発見・早期治療が大切です。
- 乳歯がなかなか抜けない、永久歯が生えてこないなどの場合は、歯科医院を受診しましょう。
- 定期的な歯科検診を受けることで、先天欠損だけでなく、虫歯や歯周病などの予防にもつながります。
その他
- 先天欠損は、歯科医院でのレントゲン検査で診断できます。
- 永久歯の先天欠損が合計6歯以上あると診断された場合の矯正治療は保険適用となる場合があります。
症例ケース(叢生)
- 年齢:20代
- 性別:男性
- 主訴:歯が一本ない、隙間が気になる
- 診断:叢生+左上犬歯先天欠損
- 治療方法:ブラケット矯正(上下顎)
- 治療期間:1年半
- 治療料金:約83万円(基本料金+毎月調整費+リテーナー費)税込
- リスク・副作用:歯を動かす際に違和感や多少の痛みを伴うことがある。矯正装置を装着するため、虫歯や歯肉炎になるリスクが少々高まる
初診時の写真
初診時の写真です。左上の3番目の犬歯が無く、隙間が空いている状態です。
また下の歯並びもガタツキがあり、左右でのかみ合わせが非対称になっています。
この状態を左上4番目を前につめて矯正をすることにしました。
終了後の口腔内写真
上の歯並びと下の歯並びはきれいになって、左上の隙間は埋まっているのがわかります。
普通に見ただけだと歯が一本足りないのがわからないくらいなので、かなりきれいになりました。
このように歯が1本無いケースでも矯正で治せますので、ぜひご相談ください。
院長 岡本