小児の反対咬合について原因と治療
一般的に正しい噛み合わせとは、噛んだ時に上の歯が下の歯を2mm覆っている状態をいいます。逆に反対咬合とは、受け口のように下の歯が上の歯よりも前にでている状態をいいます。短頭型の多い日本人には比較的多くみられます。
発言頻度:
2歳(=乳歯が完全に生えそろう前の時期)-13.4%
3歳(=乳歯が生えそろい噛み合わせが完成した時期)-8.7% と徐々に発現頻度は減少し
41.9%は自然に正常咬合に移行するといわれています。すなわち反対咬合の発現頻度は10%未満と考えていいいかと思います。
反対咬合の原因:
乳歯が完全に生えそろう前は、噛み合わせが安定しないので色んなところで噛もうとするため高頻度でみられる傾向にあります。自分で噛みあわれを見つけながら成長していきますが、下あごを前に出して噛む癖がついてしまうと元々は正常咬合だったのが反対咬合に移行してしまうことも要因として挙げられます。
上あごの成長時期と下あごの成長期のズレも関係してきます。
左図はScammonの発育曲線といいます。大きく分けてリンパ型・神経型・一般型・生殖型に分類されます。上あごは頭蓋骨に近いこともあり神経型に類似し、下あごは一般型に類似します。上あごの成長のピークは10歳ごろとされていますが、下あごは、12歳ごろと上あごよりも遅れて成長します。子供の成長期の変化は大きいことに比例して、下あごの成長も著しいこともあり成長期を期に反対咬合になる場合もあります。
反対咬合の治療方針
前歯だけが反対咬合の場合は、アイスの棒を噛んで噛み合わせを変化させる方法があります。下の歯が舌側に、上の歯が唇側に傾斜するように力をかけていきます。
噛み合わせが深く、多数歯の反対咬合がある場合は小児矯正を行います。床矯正とは違い、機能的矯正装置として「ムーシールド」というマウスピースを使います。
ムーシールドは、舌が下に落ちていると下あごの発育ばかりが促進され反対咬合が加速するため、上あごに舌を置くように設定され上あごの成長を促します。他にも、唇に力が入りすぎてしまい上あごの成長を阻害するため、口唇圧を抑制する構造になっています。
大人の反対咬合は外科的な治療を選択せざる負えなくなる場合もあります。反対咬合のお子様に小児矯正を行うことで、過度な治療が必要なく正しい成長方向に導く正常咬合をつくることが出来ます。
大人の矯正・小児の矯正それぞれのお口に合った矯正治療を行います。お気軽にご相談ください。
歯科医師 木村 采香