GUMMETAL(ゴムメタル)矯正について
矯正中に歯が動くことにより痛みを伴います。痛みは痛み止めを飲むことで対応できます。しかし、昨今の研究で歯が動くことで痛みを伴いストレスを感じることで歯根吸収のリスクが増えることが言われてきています。
歯根吸収のリスクを減らすには、矯正中の疼痛を出来るだけ減らしストレスを軽減する必要があります。
矯正歯科治療ワイヤーの理想的な特性8個
1:低剛性=しなやかさ 2:高強度=疲労断線しない・引っ張り強さ 3:高耐蝕性:口腔内環境に耐える 4:易成型性=容易に曲げられる 5:スプリングバックが強い=復元性が高い 6:為害性がない=重金属を含まない 7:低フリクション=効率的に歯の移動を行える 8:審美性が良い
GUMMMETAL

愛知県で開発されたβチタン合金。しなやかさと強さを兼ね備えた金属です。今まではNiTi(ニッケルチタンワイヤー)とステンレスワイヤーが主流でした。NiTiは柔らかいが形が変えられない(ワイヤーの形にしか歯が動かず1歯単位で動かせない)、ステンレスは曲げられるが硬い(硬いため歯に大きな力がかかり痛みを伴う)というデメリットがありました。
今までのワイヤーに比べてGUMMETALはステンレスのような硬さ・強度がありながらNiTiのような柔らかさやしなやかさを合わせ持つワイヤーです。
GUMMETALのメリット
①歯の一括移動が可能になる
従来の矯正ではスペース不足した場合小臼歯を抜歯して歯を寄せる方法を取りました。右図のように前に倒れた歯を整直させることで歯を並べるために必要なスペースを確保できます。これは抜歯をせずに矯正を行える症例が増やせることを意味します。また、下あごを前に回転させることが可能になり、気道が広がり呼吸がよりスムーズに行えるためパフォーマンス向上も見込まれます。
②矯正後の長期安定が見込まれる
例えば下あごが後ろに下がったことが原因で上の前歯が出っ歯になっている場合に、下あごを前方に誘導し前歯との関係を改善させることで成長期の患者様の成長発育を促すことや成人の術後長期安定に繋がります。これはGUMMETALのしなやかで強固な性質があるため、歯に負担なく圧下の作用をかけることが可能なためです。
③ディスクレパンシーの解消が容易になる
これは上記にある一括移動が可能なため、抜歯をせず叢生を解消できることを意味します。
各患者様の口腔状態に応じて、矯正を進めていきます。疑問点があればお気軽にご質問ください。
歯科医師 木村 采香







