予防歯科のQ&A
こんにちは、院長の岡本です。
歯医者=歯が悪くなったから治しに行くところ
と思っていませんか??
ひと昔はそうだったのかもしれません。しかし近年では歯が悪くなってから行くのではなく、歯がこれから悪くならないように予防しにいく、つまり予防歯科の考え方が大きくなっています。
ですので、今回は予防歯科について気になる点を書いていこうと思います。
そもそも予防歯科とはなに?
予防歯科
毎日の歯磨きをしっかりして虫歯にならないようにすること+歯が生え始めた時から歯の健康を考え、よくしていくことです。歯が虫歯、歯周病になり歯を失うことで生活の質QOLが低下してしまいます。そうならないように生涯を通じて歯を守る知識を身につけて歯のトラブルを避け、管理していくことが予防歯科なのです。上にも記載したように昔は歯に問題が生じてから歯医者に行くのが多かったのですが、現在は国が歯のメンテナンスに行きましょうと推進しているように歯を常に良い状態にするという考え方に変化しています。
毎日できるセルフケアで具体的に何をすれば良いのか?(年代別)
・3歳以下のお子さんにできる予防歯科はまず大人からの口移しや食器の共有をしないことが大切です。赤ちゃんの口腔内には乳酸菌がたくさん存在します、ゆえに虫歯菌はありません。しかし虫歯菌は大人から様々な形で移ってしまいます。
虫歯は遺伝する!と噂で聞いたことありませんか?
正確には虫歯リスクの高い親と食生活を共有していくと虫歯菌が移り、そのお子さんも虫歯ができやすくなる という解釈になります。
まずは赤ちゃんのお口に虫歯菌を移さないことに徹底することで虫歯予防に繋がります。
・6歳~13歳の間は乳歯から永久歯に生え変わります。その時期にできる予防歯科は歯の強化にあります。虫歯菌がお口の中に存在すると仮定したうえで、いかに歯を虫歯菌に侵されないよう強くすることが大切です。フッ素を使用するのが有効です。
フッ素入りの歯磨き粉やフッ素入りの洗口液を歯みがき時に合わせて使用すると、歯の表面部のエナメル質を丈夫にして虫歯菌を寄せ付けないようにできます。また食べ残しや汚れを取りきれずにお口の中に長時間滞在することも虫歯になりますので、歯ブラシだけでなく、フロスや歯間ブラシの補助器具を併用することで虫歯予防になります。
・15歳~大人の時期は虫歯に加えて歯周病にも注意していかなければなりません。
ところで歯周炎と歯肉炎との違いはご存じでしょうか?
歯肉炎とは歯の周囲にある歯茎だけが腫れている、比較的軽度な炎症のことです。この状態であれば、大抵の場合、原因となっている食べカスや汚れ、歯石を除去し、丁寧に歯みがきをすれば治ります。しかし、この歯肉炎を放置したままにすると症状が悪化してしまい、次のステップである「歯周炎」になってしまいます。
歯周炎とは歯肉炎が悪化し、歯を支える骨にまで腫れが広がっている、重度な炎症のことです。この状態では、骨の一部が失われている可能性もあり、元の状態に戻すことは大変難しくなります。「歯周炎」にまで症状が進行してしまうと、歯茎が腫れたり、膿がでたり、歯がぐらついて抜けてしまうこともあります。
つまりは歯そのものの健康状態+歯の周りの組織の健康状態も気にしなくてはなりません。
セルフケアの方法は大きくは変わりませんが、歯茎の炎症が気になる方は歯周病予防に特化した歯磨き粉や洗口液を併用するのが良いですね。それでも歯茎の奥深くに潜む汚れや歯石は自分で取るのは困難になりますので、歯医者でのクリーニング定期健診の必要性が高くなります。
ではプロケア(歯医者)でどのようなことを行っているのか?
幼児の場合は1歳半検診、3歳児検診をきっかけに歯医者に受診することをお勧めします。そこで親御さんへの食指導や歯ブラシ指導、フッ素指導を行うことでその子の今後の口腔内環境が大きく変わっていきます。また歯並びや口腔機能についても異常がないかチェックできるので、歯並びに問題があったり、かみ合わせが悪かったり、お口の機能に問題があったりと早期発見できます。
6歳以降は永久歯が生え変わりますので、永久歯の溝が深く、虫歯リスクが高いため、シーラントを行うのも重要になっております。この時もオーラルケアだけでなく、かみ合わせ、歯並びの異常が早期発見された場合は、成長期を利用した小児矯正(プレート矯正、床矯正)、MFT(筋機能訓練)、習癖の改善を取り入れて早期治療し今後の予防に繋がります。
・15歳~大人の場合はPMTC(普段の歯みがきでは落とせない歯垢(プラーク)などを、専用機器で取り除く歯の清掃。)をしっかり行うことが大切です。また、永久歯の歯ブラシ指導、歯周病予防のための歯石取りも取り入れて歯の長持ちを図ります。
大人の歯科矯正も予防歯科の一つだと考えられます。かみ合わせが深いとイビキをしてしまい睡眠障害となります。歯並びがガタガタだとセルフケアが難しく虫歯リスクが高くなる上に、物をうまく噛めなくて消化にも影響してしまいます。
全年齢に通じることですが、歯を強くする食べ物について紹介します。
歯そのものを強化することで、歯の予防に繋がり、虫歯になりにくい、歯周炎になりにくい環境づくりができます。
①カルシウム:エナメル質、象質共にカルシウムを最も多く含んでいるので、魚介類や海藻類、乳製品などのカルシウムを多く含んでいる食品は、歯を強くしてくれます。カルシウムは吸収されにくい栄養素なので、カルシウムの吸収を助けてくれるビタミンDも一緒に摂ると吸収しやすくなります。
②ビタミンD:主に魚類やきのこ類に多く含まれています。また、日光を浴びることでもビタミンDが体内でつくられます。季節や紫外線の強さによって異なりますが、朝起きた後に日光を10分浴びるのが一番良いと聞きました。
③ビタミンA:歯の表面を覆うエナメル質をつくる働きがあります。動物性食品だと、レバーやウナギ、卵、植物性食品だと、にんじんやかぼちゃ、ほうれん草などの緑黄色野菜に多く含まれています。目にもよいとされています。
上記のビタミンDもビタミンAも『脂溶性ビタミン』なので、油と一緒に調理する事で、吸収率を上げることがでます。マヨネーズを使ったドレッシング類を使用したり、油で炒めたり・揚げたりする調理法がおすすめです!
④ビタミンC:歯の象質の形成を支える働きがあります。また、歯肉が構成されているコラーゲンの生成には必要不可欠なビタミンです。主にじゃがいもやピーマン、カボチャ、ブロッコリーなどに含まれています。
上記のビタミンCはビタミンD・A とは違い『水溶性ビタミン』なので、水に溶けやすい性質があり、調理法によっては栄養素が減ってしまうことがあります。水溶性ビタミンを多く含む食品を調理する時は、煮汁ごと使えるスープや、煮込み料理にすると余す事なく栄養を摂ることができるのでおすすめです!
予防は治療に勝る!という言葉はご存知でしょうか。オランダの司祭デジデリウス・エラスムスの言葉です。 病気になって治療するよりも、予防することの方が大事という言葉です。
簡単そうで、なかなか難しいことですよね。
人間の永久歯は一度しか生えてこないため、長持ちさせられるかどうかはその人自身の意識、行動にかかっております。
失くしてから後悔する前に、ぜひ予防歯科に取り組んでみてはいかがでしょうか。私たちグリーン歯科・矯正歯科の歯科医師が全力でサポートいたします。