矯正治療の中でも難しい症例の紹介・歯の寿命と抜歯矯正と非抜歯矯正の選択
今回は矯正の中でも難しいケースを2症例紹介させて頂きます。
症例1:45歳女性(主訴:口元の突出感)
当初、患者様は口元の突出を気にされており、歯肉の薄さや歯根の短さといった骨格的な懸念事項はあったものの、3年前より非抜歯での矯正治療を開始しました。
しかし、1年半経過した時点でも口元の変化が患者様の期待に届かなかったため、上下左右の第一小臼歯(4番)計4本を抜歯する方針へと転換し、再治療を行いました。
年齢:40代
性別:女性
主訴:前歯の出っ張りが気になる
診断:上顎前突
治療方法:ブラケット矯正(上下顎)
治療期間:3年(通院36回)
治療料金:約95万円(基本料金+毎月調整費+リテーナー費)税込
リスク・副作用:歯を動かす際に違和感や多少の痛みを伴うことがある。矯正装置を装着するため、虫歯や歯肉炎になるリスクが少々高まる

【結果と考察】
最終的に口元は大きく下がり、患者様からは概ね満足のお言葉をいただくことができました。
一方で、前歯での咬合のしにくさや、歯間への隙間の生じやすさといった新たな課題も残りました。
なお、CTによる事後確認では、歯根吸収は許容範囲内に収まっています。
【反省点】
初診時のカウンセリングにおいて、患者様が求める改善の度合いをより深く掘り下げていれば、当初から抜歯矯正を選択できたはずです。
そうすれば、治療期間を約1年半〜2年に短縮できた可能性があり、事前の綿密なゴール設定の重要性が浮き彫りとなりました。
次に矯正相談、矯正診断をして前歯が危険な状態にあることが判明したケースです。
症例2:30代前半女性(主訴:前歯の突出感)
前歯2本の突出を主訴に来院されましたが、CT検査の結果、他院での過去の処置に起因する深刻なリスクが判明しました。
【診断の詳細】
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該当する前歯2本は仮歯であり、歯根が非常に短い。
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歯の軸と内部のコア(土台)の向きに大きな乖離がある。
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コアが歯根の壁を突き抜けている可能性(パーフォレーション)や、根尖および隣在歯の病変も認められる。
【方針と提案】
現状のまま矯正を行うと、治療中に歯が脱落するリスクが極めて高く、患者様が予定していた「他院での最終的な被せ物治療」を前提とした計画は非現実的であると判断しました。
矯正診断の結果、対応を考えてみました。
①リスクを患者様に話して、理解していただく、柔らかい言葉で伝えていきたいです。
矯正では長く使える歯を残していきたいです。
今の前歯2本の歯を動かしていくと脱落の可能性があります。将来を見込んだ治療計画を伝える
②そのために2本の前歯を抜歯して、隣の2番目の歯を前歯に見立てて歯を並べていくと歯のガタガタも治り、長く残せる歯を保存することができます。
③治療体制の再考: 矯正と補綴を別々の医院で行うことの限界を指摘。
当院で一貫して責任を持つ選択肢を提示しつつ、まずは現在の担当医と改めて相談するよう促しました。
矯正治療はしっかり患者様と相談をして、しっかり診断をしてから行う治療です。
診断してから分かることもあるので、十分に気をつけるケースがあります。
歯科医師 岡本







