宮地の咬合三角②欠損歯列・欠損補綴 早めの処置が大切です
先月はカマーの分類の話がメインになりましたので、今回はその続きで宮地の咬合三角についてお話ししたいと思います。
宮地 建夫先生の「症例で見る、欠損歯列・欠損補綴・レベル・パターン・スピード」
宮地 建夫先生の「症例で見る、欠損歯列・欠損補綴・レベル・パターン・スピード」という著書にも掲載されているように、実質的に咬合が崩壊してしまうと欠損歯列は重症化しやすく、そこには踏み入れないようにその手前でなんとか対応すべきだという危険地帯が「咬合崩壊レベル」であり、そのリスク回避はだいぶ手前で行う必要がある、ということで、その見極めのために咬合三角は大切なのです。
ただ、実際の口腔内をご覧いただくとわかるように、歯自体は上顎の歯と下顎の歯は上顎一本と下顎一本がセットで噛んでいる訳ではなく、歯の半分の分がずれて噛んでいます。

(部位や歯並びにもよります) また、歯は存在していても歯冠が崩壊して実際には向かい合う歯と噛んでいなかったり、前歯の部分では被蓋の関係で、上下の歯が噛んでいないことなどもあります。
このような事象は存在しますが、まずは歯列全体の傾向を掴むことが目的なので、歯式上で上下同名の歯があれば咬合指示があるというカウントを賭すことにしたということを宮地先生ご本人がおっしゃっています。
「上顎前歯部をどのように保護するか」
単純化し、欠損歯列の臨床的マザーストーリーを考えると、咬合崩壊を食い止める、つまり重症化を防ぐ欠損補綴の具体的な目的は「上顎前歯部をどのように保護するか」に繋がっていきます。
下顎の臼歯部に咬合欠陥が生じ、その影響で上顎前歯部にダメージが及ぶと「難症例のすれ違い咬合」へ大きく接近することになるので、重症化への流れを止めるためには上顎前歯部の保護が大切だと考えられています。
そして上顎前歯部を守るためには臼歯部が口腔の大黒柱になって、歯を支えることが大事になるということが言えます。
先月のブログで書かせていただいたように、臼歯部を保護するためには、欠損ができた部分をそのままにせず、その部分で噛めるようにすること、また、欠損した歯の周囲の歯への過剰な負担をかけないことが大事になります。
たとえば、右下の奥歯4本のうち、1本が無くなった場合、単純に考えると4本で支えていた力を3本で負担することになります。2本失われると、4本で負担していた
力を残りの2本で負担することになります。残った歯の負担が増えること、イメージしていただけたでしょうか。
「左が噛みにくくなったな。じゃあ左でかもう」
また、力の負担だけでなく、咬みにくくなることで、かめる場所を探して彷徨ってしまうということもあります。
たとえば左下臼歯部がなくなったとき、「左が噛みにくくなったな。じゃあ左でかもう」と右側ばかりで噛むようになる場合もあります。
(生体の適応ともいえます)すると右側臼歯にばかり負担がかかり、ついには右下か右上の喪失に繋がることもあります。
奥歯がなくなると、下顎前歯を突き出して噛むなど、どうにかして頑張ってかもうとする生体の適応
そして、奥歯がなくなると、下顎前歯を突き出して噛むなど、どうにかして頑張ってかもうとする生体の適応により、下の前歯に上の前歯が突き上げられてしまい、上の前歯がぐらぐらになり、抜けてしまう。
そしてカマーの分類の前歯がないブロックに進行していくのです。
5番目までの歯でも必要な機能を維持できるという「短縮歯列」
しかしながら、無くなった部分を完全に補わなければならないのか、というとそうではなく、5番目までの歯でも必要な機能を維持できるという「短縮歯列」という考え方もありますので、欠損が進行しないようにしっかりと補っていくこともありますし、症例によっては短縮歯列として、入れ歯が苦手な患者様の負担に配慮し、経過を見ていくこともあります。
口腔内を総合的に見て、かつ相談を大切にしながら対応させていただきますので、何か心配があれば、ぜひご相談ください。
歯科医師 川端







