ブラケット矯正の症例【開咬と叢生】
ブラケット矯正の症例
症例1:開咬(かいこう)症例
開咬とは奥歯をしっかり噛み締めた状態でも、前歯や横の歯が噛み合わずに隙間が空いてしまう噛み合わせのことであり、専門用語ではオープンバイトとも呼ばれる。
リスク:奥歯への過度な負担、発音への影響、消化不良による胃腸への負担、口腔乾燥
原因:幼少期の癖、骨格的遺伝
初診時の写真

主訴:前歯が噛み合わず、前歯で噛みにくい。
所見:前歯が開口。奥歯のみ接触。歯列全体の狭窄およびガタガタあり
治療:上下ワイヤー矯正。約2年で矯正完了
費用:83万円
リスク・副作用:歯を動かす際に違和感や多少の痛みを伴うことがある。矯正装置を装着するため、虫歯や歯肉炎になるリスクが少々高まる
矯正後の写真

反省点
上下の歯の重なり(オーバーバイト)が約1mmと浅いため、もう少し深く噛み合うように工夫できた可能性がある。左奥歯の噛み合わせにおいて、下の歯が上の歯よりわずかに外側に出てしまった。歯の幅が狭い上顎を広げた際に、下顎の広がりがそれを上回ったことが原因であると考えられる。
症例2:叢生(そうせい)症例
叢生とは歯が重なり合ってガタガタに生えている状態のことであり、一般的には「乱杭歯(らんぐいば)」や「八重歯(やえば)」と呼ばれる状態もこの叢生に含まれる。
主な原因
基本的には、顎(あご)の大きさと歯の大きさのバランスが崩れていることが原因である。
その他にも
①顎が狭い・小さい:歯が並ぶためのスペース(歯列)が足りず、押し出されるようにして前後にズレたり重なったりする。
②歯が大きい:顎のサイズが普通でも、歯そのものが大きいために入りきらなくなる。
③乳歯の早期脱落:むし歯などで乳歯が早く抜けすぎると、永久歯が正しい位置に生え揃わなくなることがある。
④癖:指しゃぶりや舌で歯を押す癖なども影響を与えることがある。
初診時の写真

主訴:歯並びがガタガタの「叢生」
所見:上の右側2番目の歯が内側に入り込み、下の左側1番目の歯が外側に飛び出している
治療:左下の最も飛び出ていた前歯を1本抜歯し、顎間ゴムで歯列全体を後方に動かし、同時に歯列の幅を拡大した
結果:歯並びは綺麗に整い、内側に入っていた歯も外側に出て正常な位置に配置された
矯正後の写真

反省点
左上の奥歯(3番〜7番)がまだ少し前方に傾いているため、より真っ直ぐにすべきだった。
左下6番目の歯がわずかに回転している。ブラケットの位置調整で改善できた可能性がある。
中心溝のズレ、臼歯(特に4番から7番)の連続性や中心溝のズレも意識して調整することで、より完成度の高い仕上がりになるとの指摘があった。
リバースカーブワイヤーと顎間ゴムの活用
開咬や歯列を後方に移動させる症例では、「リバースカーブ」という特殊な形状のワイヤーと顎間ゴムの併用が非常に効果的である。
これらのテクニックは、複数の動き(レベリング、スペース確保、歯の後方移動)を同時に行う「一括治療」を可能にし、治療期間を大幅に短縮できる(従来の3〜4年から1年半程度へ)。
患者の協力が得られる場合は、治療の早い段階(2〜3回目)からリバースカーブワイヤーを導入することが推奨される。
ブラケットの逆付け
歯の根元(歯根)の角度を精密にコントロールするため、あえてブラケットを上下逆に取り付ける「オーバートルク」というテクニックが有効な場合がある。特に、内側に大きく入り込んでいる歯を外側に出す際に、適切な角度での仕上がりを目指すために用いられる。
歯科医師 岡本







