むし歯治療のQ&A
こんにちは、院長の岡本です。
今回は歯の治療の永遠のテーマ「むし歯」についてよくある質問の紹介とそれに対しての応答を記載していきたいと思います。
ご自身が今疑問に思っている項目をぜひ探して、答えをみつけてくださいね!
質問1
歯医者に行ったら虫歯があると言われました。しかし全く痛くないのですがそんなことってあるのでしょうか?
回答:可能性は十分にあります。
虫歯には痛みを感じる場合と感じない場合があります。もっと正確に言うと虫歯の進行の度合いによって異なります。深く進行すればするほど痛みを歯の神経が感じとりやすくなります。例外として大きくても痛く無い時もあれば、小さくても痛い時もあります。
質問2
虫歯がないのに、歯がしみるのですが、どうしてですか?
回答:知覚過敏だとしみます。
正しくは象牙質知覚過敏と言います。エナメル質の内側の象牙質が露出することで、主に冷たいなどの刺激でキーンと痛みを感じる症状です。
症状がひどい場合には熱い、甘いものでもしみることがあります。
原因は主に3つあります。
・強すぎる歯みがき
磨き方が良くないことや磨く圧力が強いことで、エナメル質が削れて、象牙質が露出します。
使用する歯ブラシや歯磨き粉の種類によってもエナメル質や象牙質が傷つきます。
・歯ぎしり
就寝中に無意識に歯ぎしりをします。その際は体重の倍の力が歯にかかると言われています。その力により歯の付け根の部分がもろくなることで、歯と歯茎の境目のエナメル質が壊れて、象牙質が露出します。
・歯周病により歯茎が弱くなる=歯肉退縮
歯肉退縮により歯茎が下がってしまい歯の根本の象牙質が露出することで知覚過敏が起こります。
質問3
小さな黒い点だと思っていたら中ではすごく大きな虫歯になっていた。どうしてでしょうか?
回答:歯の構造に謎が隠されています。
歯の最表層にはエナメル質、その内側には象牙質があります。この象牙質は、エナメル質よりも柔らかいので虫歯は硬いエナメル質に小さな穴しか開けられず、中に進んでから柔らかい象牙質を大きく侵食します。専門的に言うとエナメル質から内側に向かって放射状に虫歯が進行していきます。これにより表面は小さな黒い点でも、中では大きな虫歯が黒くなっているのです。
質問4
むし歯があると言われたが、痛くないけど削らないといけないのでしょうか?
回答:むし歯の進行度合いによります。
エナメル質の範囲内の虫歯であれば、CO(初期う蝕)と言われ、再石灰化(溶けたエナメル質がフッ素などにより、構造を変えて修復されること)が期待できるので、セルフケアと定期的なクリーニングを徹底して行う事で、削らずに経過観察をしても良い物です。それ以上の虫歯の場合は診断によっては削ったほうが良いものもあります。
質問5
むし歯の治療ってどんな事をするのでしょうか?
回答:基本的には虫歯の治療は歯を削り取ります。
虫歯の進行度合いによって処置の内容が少し違います。範囲の小さい虫歯であれば、保険適応のプラスチックを詰めます。プラスチックでは対応できない大きな穴の場合では部分的に歯を覆う被せ物(インレー・アンレー)をします。神経まで虫歯が進んでいる場合には神経を取り、根の治療を行った後に歯を大きく覆う被せ物(クラウン・アンレー)をします。
質問6
よく聞く銀歯って何ですか?
回答:保険適応の金銀パラジウム合金のことです。
メリット:安価、保険適応です。
デメリット:噛む力が強い方は劣化でゆがみ、隙間ができる事、お口の中で酸化して錆びると表面に汚れが付きやすくなる事で銀歯の中が虫歯になる事があります。
また、余談ですが海外ではパラジウムの歯科治療における使用を制限もしくは完全に禁止している国もあります。先進国の中で保険のパラジウムを使用している日本は大変珍しいです。また金属アレルギーの方はあまりお勧めできません。
質問7
むし歯の治療は何回もできるのですか?
回答:むし歯の治療は何回も出来ません。おすすめしません。
歯を削るたびにどんどん薄くなっていきます。むし歯を削り取ることで痛みが無くなり、普通に咬めるようにはなりますが、歯を元通りにしたのではなくあくまで代用のものを埋めただけにすぎません。つまり治療を繰り返すたびに歯が脆くなり、最終的には抜歯になりかねません。
質問8
痛みが強い時は歯の神経を取ってもらったらもう安心ですか?
回答:今現在の強い痛みは一時的に無くなりますが、安心してはいけません。
神経を取った歯は中身のない身体と同じです。中身が無いということは栄養や血液が止まりやがて枯れていきます。
そうすると噛む力で折れやすくなります。また、神経をとった後に根の治療をしないと中が腐ってしまうため、根の治療をするためには歯を大きく削ります、そうすると歯が薄くなります。奥歯の場合だと物を噛むメインの歯になりますので、力に耐えきれなくて、歯が折れるケースが多いのが現状です。歯が折れるのを防ぐには、神経はなるべく残すべきです。もう神経をとってしまった歯を長持ちさせるには左右バランス良く噛む。マウスピースを使って歯を保護する。歯が折れにくい材質を使用して治療すると歯の破折を予防できます。
質問9
一回むし歯の治療をしたらもうむし歯にはならないのですか?
回答:油断するとなります。
治療方法によっては詰めたり・被せたりした歯の隙間から2次虫歯ができます。
それを防ぐにはなるべく治療した歯を長く持たせるためのポイントを2点紹介します。
・歯の治療に使用する材料を2次虫歯になりにくい材料にする。
・患者様自身で歯をしっかり磨けるようになる事と定期検診を受診する。
この2点を徹底することで2次虫歯を防ぐことができます。
質問10
歯の神経って何ですか?
回答:歯の中枢です。
人の体で例えると心臓くらい大切なものです。歯の中には血管や神経の束が通っています。それらが存在することで歯は生きていて、私たちはしっかり食事ができるのです。また硬い歯の中に神経があることで体の内部に細菌が侵入しないように防御してくれているのです。
歯の神経とはとても大切なものですね。
質問11
歯につめるプラスチックってなんですか?
回答:コンポジットレジンという樹脂です。
メリット:小さな虫歯であれば歯を削る量を抑える事ができ、即日で治療が完了します。一回で治せるということですね。
デメリット:大きな深い虫歯には適していません。
質問12
詰め物をした歯が痛い、しみるのですが、どうしてでしょうか?
回答:神経を残して治療を終えたケースでは歯を削った時の刺激や詰め物から伝わる冷温刺激、噛む刺激により神経が痛みを感じとります。
長い場合では半年から1年はしみたり、痛んだりしますが、ほとんどが無症状になります。理由は神経が生きていれば、歯の内面から第2象牙質という新たな壁をつくり、外からの刺激を遠ざけてくれるからです。あまりにしみる場合は詰め物の表面にしみ止めを塗布するケースもあります。
質問13
神経を取ったのに歯が痛いのはどうしてですか?神経がまだ生きているのですか?
回答:神経を取った直後であれば、神経を切断した治療の副反応のようなものによる一時的な痛みが出る可能性があります。
しかし、長期経過している場合や神経を取る時にむし歯菌が顎の骨に感染してしまっている場合では膿が溜まっているかもしれません。歯の神経を取り、最終のお薬を詰めて被せ物をしても、それぞれの隙間からむし歯菌が歯の内部を通り、顎の骨に侵入しやすくなります。
神経が枝分かれしていることもありますので、神経を取る段階で全ての枝を無菌化して血流を遮断することは不可能に近いのです。それにより虫歯菌が感染して顎の骨が溶けて、膿が溜まると痛みを感じます。場合によっては、被せ物を外し、歯の根の再治療が必要になります。根の治療の成功率はいまだに高くないです。だからこそ神経をとるまでむし歯を放置してはいけないのです。
質問14
根の治療後に土台を立てると言われましたが歯の土台って何ですか?
回答:神経のない歯が折れやすくなることは上に記載しましたが、そこで折れやすい歯に土台を立てることによって、歯を補強するのが土台の治療になります。
ただし、土台の材料が固すぎると逆に噛む力で歯を折るクサビになってしまうので、土台の材料選びが重要になってきます。
質問15
むし歯治療や神経を取るのは痛いですか?
回答:麻酔をするので痛くないです。
小さな虫歯では麻酔をしないケースもあります。電動の注射器を使用しますので、極力麻酔の痛みも軽減しております。ただ、歯の痛みが強い時や歯茎がかなり腫れているときは麻酔が効きにくいこともあります。
いかがでしたでしょうか。ここに書いていない疑問もたくさんあると思います。
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