入れ歯•義歯治療のQ&A
こんにちは、院長の岡本です。
今回は入れ歯について詳しく記載していこうと思います。
8020運動をご存知でしょうか?
8020運動・・・日本 において展開されている歯科に関する運動で、満 80歳で20本以上の歯を残そうとするのが主目的である。厚生労働省や日本歯科医師により推進されている。 1999年に行われた歯科疾患実態調査によると、80歳での残存歯数は約8本、20本以上の残存歯を持つ者は約15 %となっている。2005年に行われた調査においては、80歳での残存歯数は約10本、80~84歳で20本以上の残存歯を持つ者は21.1%と前回調査に比べ、さらに大幅に増加した。平成28年歯科疾患実態調査結果の概要が発表され、8020達成者率(80歳で20本以上自分の歯を保有する者の割合)が昨年の40.2%から51.2%に増加したと言われております。
歯を健康に長く残そうとする動きは年ごとに増加していますね。しかし歯をすべて残すのはやっぱり現状では難しいようです。歯を長く持たせるには、失った歯をそのままにしておくのは危険なのです。
虫歯や歯周病、ケガなどによって歯を失うとどうなるか?
人工の歯を入れて歯の機能を補う役割をしますね。しかしこれは見た目の問題や抜けた歯の埋め合わせと軽く考えている方もいるのではないでしょうか?なので、中には「特に気にならないからそのままでいいや」と放置されている方もいるかと思います。しかし、それは歯だけでなく、身体全体の健康にかかわる大きな問題になりかねません。なぜなら、歯が抜けて空いたスペースをこのままにしてしまうと、隣同士の健康な歯が、スペースを埋めようとして動いてしまうのです。
例えば、下の歯が抜けて放置したとします。すると、噛み合う上の歯が少しずつ下に落ちてきます、地球の重力の影響もありますね。さらに左右の歯も空いたスペースに向かって倒れてきます。そうやって、1本の歯が失われることによって歯並び全体が崩れてしまい、かみ合わせが悪くなっていきます。かみ合わせが悪くなると物をよく噛めなくて、体までもが不健康な状態になってしまいます。十分な咀嚼ができなくなると、食事もおいしくなくなり、食べ物の消化も悪くなって、胃腸に負担がかかります。
なので、歯を失ったときは、放置せず、しっかりと治療をしましょう!
入れ歯の種類や構造の違いは?
入れ歯には、保険適応と保険適応外のものがあり、見た目、構造、材質が違います。どのようなものがあるのか、説明していきましょう。
まず入れ歯は大きく分けて「部分入れ歯」と「総入れ歯」の2つに分けられます。歯が全て無く。その全ての歯を補う入れ歯のことを総入れ歯と言い、1本でも本人の歯が残っていると部分入れ歯と言います。
部分入れ歯
部分的に失われた歯を補うものです。
人工歯が付いたピンクの義歯床を、歯を失った部分の粘膜に乗せ、残った歯に金属のバネをかけて固定します。
以前ブリッジを紹介しましたが、それと同様、健康な歯にバネをかけますが、ブリッジに比べて歯を削る量が少なく、健康な歯へのダメージも少ないのが特徴です。
失われた歯が1本でも、逆に1本しか残っていない場合でも「部分入れ歯」といいます。また、保険適応外の入れ歯はバネを用いず固定する方法もあります。それは入れ歯の種類でまた紹介しますね。
総入れ歯
総入れ歯は、すべての歯を失った方のための入れ歯です。
歯がないのに、どうやって噛むのか、噛む力も弱いというイメージがありますが、患者様それぞれの口の中の状態に合わせた治療を行うことにより、安定感や噛む力をアップさせることができます。しかしやっぱり噛む感触は押しつぶすというイメージになりますので、噛める物は限られることがありますね。
入れ歯の構造について
通常、部分入れ歯を固定するには「クラスプ」という装置が使います。ほかには、マグネットで固定するものや金属バネを使わない方式のものもあります。
総入れ歯では、顎の粘膜の状態が良くないと安定しないので、シリコンなどを用いることによって安定感を増し、従来に比べて噛み心地をよくしたものもあります。
入れ歯を使うメリットとデメリットは?
歯を失ったときの主な対処法として、入れ歯とブリッジ、インプラントの3つの治療方法があります。
入れ歯のメリット
・1本だけでなく数本の歯を失った場合でも、一つの入れ歯で対応ができる
・保険適用外だと、金属の針金を使わないノンクラスプデンチャーという入れ歯もありますので、目立つとこの歯が見た目は気になりません。
・ブリッジやインプラントのように固定するタイプではないので、修理や調整もしやすいというメリットはありますね。
入れ歯のデメリット
・食べかすが入れ歯の間に挟まりやすい
・硬い食べ物が噛みにくいので、食べ物の制限はあります
・保険適応だと金属のバネなどが目立つ
・食事のたびに外して洗うので、手入れに手間がかかる
取り外してお掃除がしやすのはメリットである半面、隙間にものが挟まりやすいということです。口の中はとても敏感なので、髪の毛1本入っただけでも異物感を覚えます。また、硬いものを食べにくい、噛めないと感じる方も多いようです。ほかには、保険が適用される歯科用プラスチック製の総入れ歯は熱を感じにくく、食事が楽しくない、温冷を感じない、料理のおいしさを感じないという方もいると言われております。
保険適応の入れ歯と保険適応外の入れ歯の違いは?
入れ歯には保険適応でできるものと、保険が適応されず、全額自己負担となるものがあります。
保険適応の入れ歯は価格が安いが、使われている素材などに制限があります。一方、自己負担の入れ歯は、装着時の違和感が少なく見た目もいい素材を、希望に合わせて選ぶことができます。自分が重視するものを自分に合ったものを選ぶと良いかと思います。
保険適応の入れ歯の特徴
保険が適応される入れ歯は、レジンと呼ばれる歯科用プラスチックでできています。総入れ歯は、固定する部分がありませんので、ピンク色をした土台部分(義歯床) を口の粘膜に吸着させます。部分入れ歯には入れ歯を固定するためのクラスプという装置がついています。
保険適応の入れ歯のメリット
・治療費が安い
・壊れても修理が比較的簡単
保険適応の入れ歯のデメリット
・全体的にレジンの床が分厚いため、口に装着したとき違和感がある
・素材がプラスチックなので、食べ物の温度を感じにくい
・部分入れ歯には金属製のクラスプがついているため、見た目が悪い
保険適応外の入れ歯の特徴
保険適応外ではさまざまな素材が使えます。
ピンク色の床が金属のもの
入れ歯の床が薄い金属で出来ている入れ歯です。軽量ながら耐久性があり、違和感も少ないのが特徴です。ゴールドやコバルトクロム、チタンなどがありますが、金属によっては金属アレルギー症状が出ることがあります。食べ物の温度や味、形を感じやすくなるので、食事が楽しくなります。
アタッチメントタイプ
自分の歯を土台にしたり、インプラントを土台にしたりしてそこに入れ歯を上からはめ込むタイプで、バネは使用しません。
費用は比較的高くになります。
ノンクラスプデンチャー
金属を一切使用せずに作れます。見た目がよく違和感もあまりありません。
マグネット式デンチャー
入れ歯側にマグネットが付いていて、自分の歯やインプラントに金属板を入れて磁気で固定する方法です。
保険適応外の入れ歯のメリット
・かなり薄くすることができ、熱も効率よく伝わる
・食事の温度を感じながら食事を楽しむことができる
・厚みが薄く軽いので、装着感も良い
保険適応外の入れ歯のデメリット
・保険適用外なので費用が高くなる
・ノンクラスプデンチャーの場合通常のバネの入れ歯よりも噛む力が弱くなる
どんな入れ歯にもメリットとデメリットがあります。金額だけでなく、自分のライフスタイルを考えたとき、どのような入れ歯がふさわしいのかを考えて、選択しましょう。
また、歯を喪失しても入れ歯以外の治療方法はありますので、それらの治療方法と比較して、納得のいく方法を選ぶのも大切ですね。
入れ歯のお手入れ方法や注意点は?
初めて入れ歯を入れる場合、違和感や痛みをともなう事が多くあります。
最初のうちは無理をせず、少しずつ入れる時間を延ばしてください。まず慣れることが肝心です。最初は入れ歯が気になり、食事のときに気になったり、滑舌がうまくいかず話しづらかったりと、つらいこともたくさんあるでしょう。しかし、使っているうちに慣れてくれば、しだいに気にならなくなってきます。
痛みが強い場合は無理につけなくても構いませんが可能であれば、次回診療日の前日から使用し来院してください。保管や使用方法に問題があると、入れ歯が歪んでしまうこともあります、しかし入れ歯が合わなくなるほとんどの原因は歯茎が痩せてしまうからです。
それに合わせて、入れ歯の定期的な調整が必要となるのです。
入れ歯は夜寝るときはドクターの指示の下で外すか、つけておくかにしましょう。
はずして保管する場合には軽く濡らした状態で、入れ歯ケースに保管するようにしてください。入れ歯は乾燥に弱く、乾燥してしまうとネジレたり、ゆがんだりしてしまいます。そのため、口に合わなくなってしまうこともあります。
入れ歯のお掃除は流水下で、歯ブラシを用いて細かいところまで、磨いてください。
洗浄を怠ると、入れ歯に虫歯菌や歯周菌などの最近が増殖し、口臭や口内のただれの原因となります。不潔なまま入れ歯を装着すると、残っている歯が虫歯や口内炎の原因になるだけでなく、全身にも悪影響を及ぼします。口の中の最近は誤嚥性肺炎や歯肉がんなど、一部のがんに関与しているとの報告もあります。入れ歯を洗う時は、歯磨き粉は使わないようにしてください。入れ歯が削れてしまい、菌が付きやすくなります。
週に1,2度は入れ歯洗浄剤の使用をお勧めいたします。
最後になりますが、入れ歯はあなたの体の一部と思って使いましょう。
大げさに聞こえるかもしれませんが、せっかく作ったのに多くの方が使うのをやめてしまうことが多いです。
しかし、入れ歯は失われた歯の代わりに食べ物噛むだけでなく、顎の骨の減少や周りの歯を守る、健康な体作りに必要不可欠なものです。
入れ歯の違和感が0になることは難しいが、違和感を軽減させることはできます!入れ歯を使わない方法もご提案できますので、問題を放置せずにぜひ何でもご相談ください。