歯科治療のセカンドオピニオン〜必要な場面と上手な活用法
歯科治療におけるセカンドオピニオンとは
歯科治療において「この治療法で本当に大丈夫なのだろうか」「他に選択肢はないのだろうか」と不安や疑問を感じたことはありませんか?
そんな時に役立つのが「セカンドオピニオン」です。セカンドオピニオンとは、現在診療を受けている主治医とは別の歯科医師に意見を求めることを指します。患者さまご自身が自分の意志で最良の治療を選択するために、複数の専門家から意見をもらうことで、より納得のいく治療を受けることができるのです。
私は30年以上にわたり歯科医療に携わってきましたが、歯科治療には複数の選択肢が存在することが多いのが現実です。同じ症状に対しても、歯科医師によって考え方や得意分野が異なるため、提案される治療法も変わってくることがあります。
特に抜歯や高額な自由診療が必要となる場合は、セカンドオピニオンを検討する価値があります。患者さんの歯の状態や年齢、生活スタイルによって適切な治療法は異なりますので、別の視点から治療計画を比較検討することで、より納得した選択ができるようになるのです。

セカンドオピニオンが特に有効な場面
歯科治療においてセカンドオピニオンが特に役立つ場面があります。どのような時に検討すべきなのでしょうか?
抜歯を勧められた時は、セカンドオピニオンを検討する重要な場面です。歯を失うことは口腔内環境に大きな変化をもたらすため、本当に抜歯が必要なのか、他に歯を残す方法はないのか、別の歯科医師の意見を聞くことで選択肢が広がる可能性があります。歯周病が進行して抜歯を勧められた場合も同様です。
また、インプラント治療、審美治療(セラミックのかぶせ物、ラミネートベニアなど)、歯列矯正といった高額な自由診療を検討する際にもセカンドオピニオンは有効です。これらの治療は保険適用外で費用も高額になりますので、複数の意見を聞くことで、より自分に合った治療法を選ぶことができます。
重度の歯周病や顎関節症、咬合(かみ合わせ)治療など、専門性の高い治療が必要な場合もセカンドオピニオンを検討すべきでしょう。これらの症状は複雑で、歯科医師によって治療アプローチが異なることがあります。
さらに、治療後の状態に不満や疑問がある場合も、別の歯科医師の意見を聞くことで問題解決の糸口が見つかることがあります。同じ歯が何度も虫歯になる、治療したのに歯茎が繰り返し腫れるといった症状がある場合は、別の視点からの診断が役立つかもしれません。
一般的に、10万円を超えるような高額な歯科治療全般においては、セカンドオピニオンを検討する価値があると言えるでしょう。
セカンドオピニオンを受ける際の準備と流れ
セカンドオピニオンを有意義なものにするためには、適切な準備が必要です。まずは現在の主治医に対して、セカンドオピニオンを受けたい旨を伝えましょう。
良心的な歯科医院であれば、患者さんの不安や疑問を解消する手段として前向きに捉えてくれるはずです。むしろ、きちんと話しておくことで、レントゲン写真や検査結果などの資料提供をスムーズに受けられます。
セカンドオピニオンを受ける際には、以下の資料を持参すると効果的です。
- レントゲン写真やCT画像
- 歯型模型(ある場合)
- 現在受けている治療内容の説明書
- 治療計画書
- 見積書(費用に関する相談の場合)
これらの資料があれば、セカンドオピニオンを行う歯科医師が正確な判断をしやすく、的確なアドバイスを受けることができます。
セカンドオピニオンの流れは一般的に以下のようになります。
- 診察:歯や口の中全体を詳しくチェックします。必要に応じて検査も行い、良い点や悪い点を明らかにします。
- 担当医からの説明:検査結果に基づき、担当医が口の中の状態を説明します。
- 治療方法の提案・選択:どのような治療方法があるのか、治療計画書とともに選択肢を何通りかご提案します。自分の目的や目標に応じた治療方法を選択します。
セカンドオピニオンは通常有料で行われることが多く、3,000〜5,000円程度が相場です。ただし、カウンセリングを無料で行っているクリニックもありますので、事前に確認しておくと安心です。

セカンドオピニオンを受ける歯科医院の選び方
セカンドオピニオンで失敗や後悔をしないためには、歯科医院を慎重に選ぶ必要があります。どのような点に注目して選べばよいのでしょうか?
多様な治療法に対応しているかどうかも重要です。例えば矯正治療ならワイヤー矯正だけでなく、マウスピース矯正や部分矯正にも対応しているクリニックであれば、患者さまの状況に合った複数の治療法を比較しながら説明してくれる可能性が高くなります。
また、丁寧なカウンセリングを重視しているかどうかも大切なポイントです。患者さまの悩みや希望にしっかりと耳を傾けてくれる歯科医師であることが、良いセカンドオピニオンには欠かせません。初回カウンセリングでの印象や、説明のわかりやすさも大きな判断材料になります。
設備面では、歯科用CTなど、最新の設備を導入しているクリニックを選ぶことも一考です。これらの設備により、より詳細な検査・診断が可能となり、治療方針や治療法が変わることもあります。定期検診を治療後も行っているかも大切なポイントです。
さらに、医療広告に誇大な表現がないかも確認しましょう。「必ず治る」「痛くない」「100%成功」といった表現は避け、現実的な説明をしてくれるクリニックを選ぶことが重要です。
セカンドオピニオンのメリットと注意点
セカンドオピニオンを受けることで、さまざまなメリットが得られます。まず何より、より良い治療法に出会える可能性が広がります。
医療技術は日進月歩で進化しています。歯周病やインプラント治療も、約30〜40年前までは新しい治療法でした。しかし、今は多くの歯科医院で行われ、患者さんのQOL(生活の質)を向上させています。
また、歯科医院ごとに治療方針は異なりますので、歯科医院を変えると違う治療法に出会える可能性があります。「虫歯が広がる可能性があるから、あとのことを考えて、削っておいた方がいい」という考え方もあれば、「抜くのはいつでもできるから、まずは出来る限りもたせましょう」という方針もあります。
さらに、新しい設備での検査により、診断や治療が大きく左右されることもあります。例えば、「歯科用CT」による検査・診断では、レントゲンでは見えなかった部分が立体的に確認でき、歯根の形や本数、病巣の位置、歯茎の形、神経との距離などが正確に検査できます。その検査結果により診断が変わり、治療方針・治療法が変わることもあるのです。
しかし、セカンドオピニオンを受ける際には注意点もあります。最も重要なのは、「病院難民」にならないようにすることです。セカンドオピニオンの目的は、第三者の意見を参考に自分で治療方法を選ぶことであり、「自分が望む治療をしてくれる歯医者を探す」ということではありません。
本当に抜くしか選択肢がないのに、「抜かなくてもいい」と言ってくれる先生を探すのは、時間の無駄になる可能性があります。また、その間に症状がどんどん悪化してしまうこともあります。
また、過度なドクターショッピング(転院を何度も繰り返すこと)にならないよう注意が必要です。治療途中で何度も歯科医院を変えてしまうと、かえって適切な治療から遠ざかってしまう可能性もあります。気がつけば「抜歯しか解決法がない」という結果にもなりかねませんので、歯科医院を変えるにしても慎重に行う必要があります。
セカンドオピニオンを上手に活用するためのポイント
セカンドオピニオンを最大限に活用するためには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。まずは自分の考えや不安点を整理しておきましょう。
相談の時間も患者さんと歯科医師の大切な時間です。あなたが考えていること、不安に思っていることを少し整理するだけで、一回の相談がより充実したものとなります。以下の質問を自分に問いかけてみるとよいでしょう。
- 主治医からどのような提案を受けましたか?
- その提案のどのような点が気になっていますか?
- その他に聞いてみたい治療法はありますか?
- 今回の治療で、最も優先したいことはなんですか?
セカンドオピニオンであることを伝えることも重要です。歯科医院によっては、初診時は検査・診断のみ行い、2回目の来院の時に詳しい治療方針やお口の状態を伝える、といったことがあります。「すぐに意見が聞きたい」といった場合は、セカンドオピニオンだと伝えた方がスムーズに診療が進むでしょう。
何よりも大事なことは、”あなたの本音”を話していただくことです。遠慮せずに疑問や不安を伝えることで、より適切なアドバイスを受けることができます。
また、セカンドオピニオンで大切なのは、「どんなゴールを目指したいのか」という目標を明確に持つことです。豊富な経験と知識、技術を持った歯科医師が、そのゴールに到達することが可能なのか、到達するにはどのような方法があるのかを、徹底的に調べ、今の歯科医療で可能な治療計画を提示してくれるはずです。
さらに、普段から信頼できる歯科医院を探しておくことも重要です。多くの方が「痛くなって、初めて歯科医院を探し、受診する」という状況になりがちですが、定期的な検診やクリーニングを受けることで、信頼関係を築いておくと、いざという時に相談しやすくなります。

主治医との関係性を考える
セカンドオピニオンを検討する際、現在の主治医との関係性を気にされる方も少なくありません。「主治医に失礼ではないか」「関係が悪くなるのではないか」と心配になることもあるでしょう。
しかし、改めてお伝えしたいことは、患者さんご自身が本当に良い選択ができるかどうかが最も重要だということです。もし本当に患者さんのことを想う歯科医師であれば、よく理解した上での決断を後押ししてくれるはずです。
「現在の主治医を嫌な気持ちにしてしまうのでは」とお考えの方は、ぜひお気になさらず、満足できる治療を探すことを優先してほしいと思います。主治医との関係性よりも、あなた自身の健康と満足度を第一に考えることが大切です。
また、セカンドオピニオンを受けた結果、現在の主治医の治療方針が最適だと判断されることも少なくありません。その場合は、より納得感を持って現在の治療を続けることができるでしょう。
一方で、セカンドオピニオンの結果、治療方針を変更したい場合は、新たな歯科医院に転院することも選択肢の一つです。その際は、これまでの治療経過や検査結果を新しい歯科医院に提供することで、スムーズな引き継ぎが可能になります。
まとめ:セカンドオピニオンで納得の歯科治療を
歯科治療におけるセカンドオピニオンは、患者さん自身が納得のいく治療を選択するための重要なプロセスです。特に抜歯や高額な自由診療を検討する際には、複数の歯科医師の意見を聞くことで、より自分に合った治療法を見つけることができます。
セカンドオピニオンを受ける際は、現在の治療内容や検査結果などの資料を持参し、自分の不安や疑問点を明確に伝えることが大切です。また、専門性の高い歯科医師が在籍し、多様な治療法に対応しているクリニックを選ぶことで、より有意義なセカンドオピニオンとなるでしょう。
セカンドオピニオンのメリットは、より良い治療法に出会える可能性が広がることや、最新の設備による詳細な検査で新たな発見があることなどが挙げられます。一方で、「病院難民」にならないよう、過度なドクターショッピングは避けるべきです。
最終的には、患者さん自身が納得して治療を受けることが最も重要です。主治医との関係性を気にするよりも、自分の健康と満足度を優先して考えましょう。セカンドオピニオンを上手に活用することで、後悔のない歯科治療の選択ができるはずです。
歯科治療は長期間にわたって通院するケースが多くあります。そのため、歯科医師との相性や信頼関係も重要な要素となります。セカンドオピニオンは、そういった点も含めて総合的に判断するための貴重な機会となるでしょう。
私たち桜新町グリーン歯科・矯正歯科では、患者さんの不安や疑問に丁寧にお答えし、それぞれの状況に合った最適な治療をご提案しています。セカンドオピニオンも随時受け付けておりますので、歯科治療でお悩みの方はぜひご相談ください。
医療法人社団 緑幸会 理事長 鈴木聡







