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2025年12月13日

歯科治療と薬の影響〜知っておくべき相互作用と注意点

歯科治療と薬の相互作用〜安全な治療のために

歯科治療を受ける際、普段服用している薬について歯科医師に伝えていますか?実は、日常的に服用している薬と歯科治療で使用する薬剤との間に思わぬ相互作用が生じることがあります。

私は長年歯科医療に携わり、多くの患者さまの治療を行ってきました。特に高齢化が進む現代では、複数の薬を服用している方が増えており、この問題はますます重要になっています。

薬の相互作用を知らずに治療を進めると、効果が減弱したり、逆に副作用が強く出たりすることがあります。時には重篤な健康被害につながるケースもあるのです。

この記事では、歯科治療と薬の相互作用について、専門的な観点から解説します。どのような薬に注意が必要か、事前に歯科医師に伝えるべき情報は何か、そして安全に治療を受けるためのポイントを詳しくお伝えします。

歯科治療で使用される主な薬剤とその作用

歯科治療では様々な薬剤が使用されます。その代表的なものをご紹介しましょう。

まず、歯科治療で最も一般的に使用されるのが局所麻酔薬です。痛みを抑えるために使用され、アドレナリンが含まれていることが多いのが特徴です。このアドレナリンには血管収縮作用があり、麻酔効果を持続させる役割を担っています。

次に抗菌薬です。歯科治療後の感染予防や、歯周病・歯髄炎などの感染症治療に使用されます。アモキシシリンが第一選択薬として使われることが多く、これは日本老年歯科医学会のセミナーでも推奨されています。

鎮痛消炎薬も歯科治療では頻繁に処方されます。治療後の痛みや腫れを抑えるために使用され、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が主流です。

これらの薬剤は単独で使用される場合もありますが、患者さまが服用している他の薬と組み合わさることで、思わぬ相互作用を引き起こすことがあります。

ご自身が服用している薬について、歯科医師に伝えていますか?お薬手帳などご持参ください。

注意が必要な薬の相互作用

歯科治療において特に注意すべき薬の相互作用をいくつか見ていきましょう。

抗血栓薬と歯科治療

抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)を服用している方は、抜歯などの観血処置で出血が止まりにくくなる可能性があります。ワルファリンやアスピリンなどの抗血栓薬は、歯科治療の前に服用を中止すべきと考えられがちですが、実は近年の考え方が変わってきています。

薬の種類や治療内容によっては、むしろ服用を継続したまま治療を行うことが推奨されるケースも増えています。これは、薬の休薬によって生じる血栓症のリスクの方が、出血のリスクよりも重大と考えられるためです。

抗血栓薬を服用している場合は、必ず事前に歯科医師に伝え、場合によっては内科医との連携が必要になります。PT-INRという血液凝固能の検査値も重要な指標となります。

骨粗鬆症治療薬と歯科治療

骨粗鬆症の治療に使用されるビスフォスフォネート製剤(BP製剤)は、稀ですが顎骨壊死という重篤な副作用を引き起こすことがあります。特に抜歯などの侵襲的な処置を行う場合には注意が必要です。

しかし、すべての骨粗鬆症治療薬が顎骨壊死の原因になるわけではありません。薬の種類や投与方法、投与期間によってリスクは異なります。

BP製剤を服用している場合、歯科治療の前に患者さまの内科かかりつけ医と歯科医師の緊密な連携が重要です。場合によっては一時的に薬の休薬が必要になることもありますが、患者さまの状態によって判断が変わるため、個別の対応が必要となります。

精神科薬と歯科治療

抗精神病薬や抗うつ薬などの精神科薬と歯科治療薬の相互作用も注意が必要です。例えば、アリピプラゾール(エビリファイ)などの抗精神病薬は、歯科で使用する局所麻酔薬のアドレナリンと相互作用を起こす可能性があります。

また、三環系抗うつ薬や一部の抗精神病薬には抗コリン作用があり、口腔乾燥を引き起こすことがあります。口腔乾燥は虫歯や歯周病のリスクを高めるため、より丁寧な口腔ケアが必要になります。

2024年5月に日本老年薬学会から「日本版抗コリン薬リスクスケール」が公開され、高齢者に頻用される抗コリン薬のリスク評価が可能になりました。これにより、薬物療法の適正化が図られることが期待されています。

糖尿病治療薬と歯科治療の関係

糖尿病の患者さまは、歯周病などの口腔疾患のリスクが高いことが知られています。また、糖尿病治療薬と歯科治療薬の間にも注意すべき相互作用があります。

インスリンや経口血糖降下薬を使用している患者さまが、歯科治療のストレスや治療後の痛みで食事が摂れなくなると、低血糖を起こすリスクがあります。また、歯科で処方される抗菌薬の中には、血糖降下薬の作用を増強するものもあります。

糖尿病患者さまの歯科治療では、血糖値のコントロール状態を確認することが重要です。特にHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の値は、治療の安全性を判断する重要な指標となります。

糖尿病患者さまの場合、治療前に血糖値を測定し、必要に応じて治療内容や時間を調整することで、安全に治療を進めることができています。検査結果などがわかる資料をお持ちください。

また、糖尿病患者さまでインスリン治療中の方は、「ナディア」と呼ばれる血糖値が最も低くなる時間帯があります。この時間帯は観血処置を避けた方が良いとされています。

高血圧治療薬と歯科治療の注意点

高血圧の治療薬を服用している患者さまも、歯科治療において注意が必要です。特に局所麻酔薬に含まれるアドレナリンとの相互作用が問題になることがあります。

β遮断薬との相互作用

β遮断薬(ビソプロロールなど)を服用している患者さまに、アドレナリン含有の局所麻酔薬を使用すると、血圧の急激な上昇や不整脈のリスクが高まることがあります。

このような場合、アドレナリン濃度の低い局所麻酔薬を選択したり、アドレナリンを含まない麻酔薬を使用したりするなどの対応が必要になります。

カルシウム拮抗薬との相互作用

カルシウム拮抗薬(ベニジピンなど)を服用している患者さまに、歯科で処方されることの多いマクロライド系抗菌薬(例:エリスロマイシン)を併用すると、カルシウム拮抗薬の血中濃度が上昇し、過度の血圧低下を引き起こす可能性があります。

高血圧の患者さまは未治療や自覚のない方が30%以上いるとされています。そのため、初診時の問診や血圧測定が非常に重要です。

歯科治療の痛みや不安によって血圧が上昇することもあるため、十分な鎮痛と患者さまの不安を軽減する配慮も大切です。

患者様ご自身が定期的に血圧を測定していることも大切です。高血圧は自覚症状がないまま進行することが多いため、定期的なチェックが重要です。

歯科治療前に伝えるべき服薬情報

安全な歯科治療を受けるために、どのような情報を歯科医師に伝えるべきでしょうか。

お薬手帳の活用

最も簡単で確実な方法は、お薬手帳を持参することです。お薬手帳には、あなたが服用している全ての薬の情報が記録されています。歯科医師はこれを見ることで、治療計画を適切に立てることができます。

お薬手帳がない場合は、服用している薬の名前、用量、用法をメモしておくと良いでしょう。スマートフォンで薬の写真を撮影しておくのも一つの方法です。

伝えるべき重要な情報

特に以下の薬を服用している場合は、必ず歯科医師に伝えましょう:

  • 抗血栓薬(ワルファリン、アスピリン、クロピドグレルなど)
  • 骨粗鬆症治療薬(ビスフォスフォネート製剤、デノスマブなど)
  • ステロイド薬(プレドニゾロンなど)
  • 免疫抑制剤
  • 抗がん剤
  • 糖尿病治療薬(インスリン、経口血糖降下薬)
  • 高血圧治療薬
  • 抗不整脈薬
  • 精神科薬(抗うつ薬、抗精神病薬など)

また、過去に薬によるアレルギー反応や副作用を経験したことがある場合も、必ず伝えてください。どんなお薬でも、歯科治療に影響する可能性があるのです。

安全な歯科治療のためのポイント

最後に、薬を服用している方が安全に歯科治療を受けるためのポイントをまとめます。

事前の情報共有と医療連携

まず、服用している全ての薬について歯科医師に伝えることが最も重要です。必要に応じて、かかりつけ医と歯科医師が連携して治療計画を立てることもあります。

特に、抗血栓薬や骨粗鬆症治療薬を服用している場合は、治療前に内科医などとの連携が必要になることが多いです。

定期的な歯科検診の重要性

薬の副作用として口腔内トラブルが生じることもあります。例えば、多くの薬には口腔乾燥という副作用があり、これが虫歯や歯周病のリスクを高めます。

定期的な歯科検診を受けることで、早期に問題を発見し、大きな治療を避けることができます。特に複数の薬を服用している方は、3〜4ヶ月に一度の検診をお勧めします。

私たち医療法人社団緑幸会では、「満足していただける歯科医療サービス」をミッションとし、患者さま一人ひとりの状態に合わせた安全な治療を心がけています。

お薬の情報を共有することは、あなた自身を守るための最も簡単で効果的な方法です。

 

まとめ:薬の情報共有が安全な歯科治療の鍵

歯科治療と薬の相互作用について解説してきました。重要なポイントをまとめると:

  • 歯科治療で使用する薬剤と、普段服用している薬との間に相互作用が生じることがある
  • 抗血栓薬、骨粗鬆症治療薬、精神科薬、糖尿病治療薬、高血圧治療薬などは特に注意が必要
  • 治療前に服用している全ての薬について歯科医師に伝えることが重要
  • お薬手帳の活用が最も簡単で確実な情報共有の方法
  • 必要に応じて、かかりつけ医と歯科医師の連携が行われる
  • 定期的な歯科検診で早期に問題を発見することが大切

薬の情報を適切に共有することで、歯科治療のリスクを最小限に抑え、安全に治療を受けることができます。どんな些細なことでも、不安に思うことがあれば、遠慮なく歯科医師に相談してください。

私たち桜新町グリーン歯科矯正歯科では、患者さまの全身状態を考慮した安全な歯科治療を提供しています。お口の健康だけでなく、全身の健康も考えた総合的な歯科医療を心がけていますので、お気軽にご相談ください。

詳しい情報や予約については、桜新町グリーン歯科矯正歯科の公式サイトをご覧ください。

医療法人社団緑幸会 理事長 鈴木聡

 

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