口腔機能発達不全症・現代人と縄文人のアゴ
縄文人と現代人のアゴ
最近の子供たちは柔らかいものを食べているから、あごが小さくなっているという話をきいたことがありませんか?
その一方で日本人の身長は年々伸びており、それに伴って顔周りの発育も加速していると言われています
何だか相反するような気がしますね。
実際のところはどうなっているのでしょうか?
縄文人と現代の日本人の下顎骨を比べた研究があります。
それによると、下顎体部の長さと幅に差はないが、現代人のほうが下顎枝の大きさが小さくなり、下顎角の形が変わっているそうです。
また、歯列を比べると下歯槽基底の幅に差はないが、下顎歯列の幅は現代人のほうが狭くなっています。
つまり顎が小さくなったというのは下顎骨全体がサイズダウンしているわけではなく、歯列の幅が狭くなっていることが言えます。
柔らかい食事と口腔機能
柔らかい食事がいけないというけれども、どんな影響があるのかをまとめています。
咬むための筋力が弱くなることで骨や歯が倒れてしまい、形が変わってしまうのがわかります。
口腔機能への影響1(下顎)
食事が柔らかいものが多くなる
→咀嚼機能が弱くなる・咬筋が弱くなる
→下顎枝が後退する
→下顎角の形態変わる・下顎下縁平面が急傾斜になる
→オトガイ部が後方回転する
口腔機能への影響2(下顎)
食事が柔らかいものが多くなる
→咀嚼機能が弱くなる・咬筋が弱くなる
→下顎臼歯が頬側へ直立できない
→臼歯の舌側傾斜
口腔機能への影響3(上顎)
舌の筋力弱い
→低位舌(舌先が口蓋スポットに当たっていない)
→口蓋の側方成長が抑制される
→上顎歯列の狭窄
結論
長顔な華奢な顔つきで、歯列幅が狭くなります。
口腔機能発達不全症とは・バクシネーターメカニズム
このようにみてみると、舌機能や咀嚼機能などの口腔機能が未発達なことに問題があると言えそうですね。
頬筋、口輪筋といった外側からの力が舌による内側からの力と拮抗してバランスをとることで歯列や口蓋形態、咬合まで影響されます。
これをバクシネーターメカニズムといいます。
不正咬合がみられるお子さんは、口唇閉鎖不全や低位舌、異常嚥下癖といった機能不全によるバクシネーターメカニズムの乱れがあることが多いです。
現代人の歯の大きさ
また、顎骨の発達の仕方の違いだけではなく、歯の大きさにも変化があるようです。
1970年代の小学生と比べると2000年代の小学生の歯の幅が大きくなっています。
これは栄養摂取状態の改善による体格の変化に伴っていると考えられています。
歯科医院でご自身の口腔機能の状況を知ろう!
今回は過去と比べて現代人の口腔内についてお伝えしました。
不正咬合は遺伝によるところもありますが、子供の頃の口腔習癖による場合もあります。
皆さんの場合はどうでしょうか。
日ごろの生活から意識できることはあります!
ぜひ一度歯医者さんに来ていただいて、できる事は何か考えていきましょう。