小児歯科・歯の萌出と口腔習癖
こんにちは。桜新町グリーン歯科・矯正歯科の歯科医師猪股です。
今回のブログではお子様の歯に関するお話しです。歯の萌出:歯の生え変わりのお話しと習癖:クセのお話しです。
歯の萌出
歯の生え変わりの時期を前もって知っておくことで歯並びに関心を持っていただいたり、歯の生え始める順番とその仕組みがあることと歯のケアで大切なことは?などご説明いたします。
乳歯(子供の歯)の萌出時期(ほうしゅつじき)と順序について
子供の歯は生後8ヶ月から9ヶ月ごろに下の乳中切歯(にゅうちゅうせっし)から萌出しはじめます。
小さな白い歯がちょこんと現れてるのに気がついた時は嬉しいですよね!
それから3歳頃までには全ての乳歯の萌出が終わります。
上の画像のように上下左右で5本ずつ、計20本になります。
1本1本アルフベットの名前がついていて、「左下C」・「右上D」などと呼ばれています。
しかし、萌出時期や順序には人種差・個体差・性差・社会的環境などの影響を受けますので、3〜4ヶ月の差は異常ではありませんのでご安心ください。
日本人の乳歯の萌出時期は以下の画像のようになっています。
アルファベット順で萌出していないことがわかりますね。
永久歯(大人の歯)の萌出時期と順序について
大人の歯の永久歯は6歳ごろに下の第1大臼歯(だいきゅうし)が生えはじめます。
乳歯と違って永久歯は1本1本数字で名前が付いていて、「左下3」・「右上4」などと呼ばれています。
6歳ごろに「左下6」・「右下6」が生えはじめてきて12歳から13歳ごろまでに親不知(おやしらず)を除いた28本全てが萌出します。
萌出順序
上:6→1→2→4→3→5→7→8
下:1→6→2→3→4→5→7→8
とされています。8番目の歯が親不知です。
しかし、乳歯と同様にお口の中の環境の影響を受けてしまうので、この順番と多少違ったりもします。
環境の影響:虫歯
虫歯などの原因により、子供の歯(乳歯)が早くに抜けてしまうと、その下に生えてきている永久歯の萌出が早まったりします。
乳歯がなかなか抜けずにいると(残存すること)永久歯の萌出が遅くなることもあります。
歯の萌出異常
早くに生え変わってしまったり、遅く生え変わってしまう原因のお話しです。
早期萌出
歯が先ほどの画像の平均萌出時期よりも早く萌出するものを「早期萌出」と言います。
乳歯の早期萌出
その中でも、赤ちゃんが生まれたときにすでに萌出していたものを「出生歯」、生後4週以内に萌出した乳歯を「新生児歯」と言います。
これらを合わせて「先天性歯」と呼ばれます。
一般的には下の乳中切歯(左右下A)であることが多いです。
先天性歯は歯の根っこが未発達の場合が多く、グラグラしていて自然に抜けてしまうこともあります。
そのため、誤って飲んでしまわないように注意が必要です。
先天性歯によって授乳が困難になってしまうことがあります。(歯が当たってしまい痛みが発生します)
その場合には、歯の先端の尖っているところを削って丸めたり、詰め物で覆ったりします。
それでも効果があまり見受けられないと抜いてしまうこともあります。
永久歯の早期萌出
大人のでも、早期に萌出してしまうことがあります。
乳歯の虫歯が深くなってしまい、歯の根っこの周辺まで虫歯の感染が進んでしまい、歯の根っこの周辺の骨までも溶かしてしまうような状態になることがあります。
専門的には歯の根尖病巣(こんせんびょうそう)と言います。
歯の神経が炎症を起こしてしまうので、画像の茶色い部分のように膿が溜まります。この病状によって、やむなく乳歯を抜いた場合、歯を支えるための顎の骨の歯槽骨(しそうこつ):画像の黄色味を帯びた骨の部分の左の根っこ側にある感染して膿が溜まってしまっている部分:の骨が感染でなくなってしまっているので、大人の歯の永久歯が早くに頭を出してきてしまうケースもあります。
この場合、歯の生え変わりはあるのですが、大人の歯の根っこがまだ完成していないので、歯の根っこが出来上がるまでは上下の歯での反対側の歯とは噛み合ってくることはありません。
萌出遅延
今度は上記のお話とは逆に、歯が平均より遅れて生えてくる「萌出遅延・ほうしゅつちえん」についてです。「晩期萌出・ばんきほうしゅつ」とも言います。
原因として、全身的な要因と局所的(部分的)な原因があげられます。
萌出遅延・全身的な原因
栄養障害:カルシウムの代謝障害やビタミン欠乏症など、骨の異常・染色体の異常などの遺伝的な要因があります。
萌出遅延・局所的な要因
歯肉(はぐき)が通常より分厚かったり(通常2〜3mmです)、はぐき自体が固い場合になかなか永久歯が出てこれないことがあります。
また、顎の発達が少なかったり姿勢が正しい位置ではなく歪んでしまうことで顎のズレなどがあり、舌をはじめとする口腔内の筋力がしっかりと発達がない場合に顎の発育が減少してしまい永久歯が生えてくるスペースが不足することで生えてくる歯の位置の異常、乳歯の晩期残存(なかなか乳歯が抜けない)などがあります。
いかがだったでしょうか?
お子様の歯の生え変わりについて気になること、ご兄弟での違いやご相談など虫歯の治療や歯のクリーニング・定期検診などでもお気軽にお問い合わせください。
口腔習癖
ここからはお子様の「口腔習癖・こうくうしゅうへき」のお話しです。習慣的であったり、何の目的もなく行なってしまっているお口と歯に関連した日常的なクセに関連した行為を言います。
特に歯医者・歯科で注意するべき指しゃぶり・爪を噛んでしまう・唇を噛んでしまう・飲み込み方の異常・舌が下がってしまう・口呼吸などがあり、桜新町グリーン歯科・矯正歯科では早めの改善をお勧めしています。
ほとんどのこれらのクセ・習癖はお子様の成長が進むにつれて減少してゆくことから生理的な習癖と・現象とも考えられています。
しかし、お子様が成長しても自然に習癖が消えない場合は歯並び・噛み合わせを乱す危険因子となってしまうのです。
吸指癖:指しゃぶり
指しゃぶりは口腔習癖の中で最も多く、低年齢児では一般的に見られるとされています。
親指を吸う場合が一番多く、次に人差し指が多いです、
生まれてから数ヶ月で指しゃぶりが見られ、1〜2歳で増加、3歳ごろから減少してゆくといわれています。
上顎前突(出っ歯)
指しゃぶりによって指で歯が押されてしまうことから出っ歯になってしまいます。
開咬
そして、下の前歯の歯並びにも影響が出てしまい下の前歯が後退していまい前歯の噛み合わせができなくなります。(開咬・かいこう)
交差咬合
上記のほかに、指を吸うことによって口腔内が陰圧になりほっぺたの内側で奥歯を内側に押してしまい左右から歯並びが狭くなることによって交差咬合(こうさこうごう)を引き起こします。
咬爪癖(爪を噛む)
2〜3歳ごろから始まり、学童期に増加するといわれています。
歯への影響としては、歯のすり減りや歯の傾斜(上下の歯が爪を噛む部分で倒れてきてしまう)位置の異常(上下の噛み合わせでピンポイントで噛みやすいようにズレてしまう)があります。
咬唇癖(唇を噛む)
唇を噛むほかに吸ってしまう癖のことを言います。下の唇を噛むケースが多いようです。
下の唇を噛んでいる場合は出っ歯になる傾向があります。
上の唇を噛んだり吸ってしまう場合はその逆で下の前歯が上の前歯を覆って前に出てきてしまいやすくなるので受け口(反対咬合)になる場合があります。
また、指しゃぶりと同じように開咬になることもあります。
異常嚥下癖
嚥下とは飲み込む運動のことを言います。
正常な飲む混む運動とは上の歯と下の歯が合わさり、舌がピッタリ上顎に押しつけられた状態でごっくんと飲み込む運動が正常です。
それに対して異常嚥下癖では舌の先を前歯の間に挟んだ状態で、唇をギュッと絞り込むように緊張させてごっくんと飲み込みます。
飲み込むたびに舌が歯を押してしまうので出っ歯や開咬になったり、すきっ歯(空隙歯列・くうげきしれつ)になることもあります。
舌突出癖
舌を前に出して上下の前歯で挟んでしまう癖のことです。異常嚥下の時の舌の動き方をいつもしてしまう癖です。異常嚥下癖と同様に出っ歯・開咬・すきっ歯になりやすくなってしまいます。
口呼吸
アレルギー性鼻炎・花粉症などで鼻が詰まってしまい口呼吸になる癖です。呼吸をするために常に口が開いている状態になってしまい、上の唇の筋肉が発達しないので前歯が外へ飛び出してしまい、上顎前突(出っ歯)になってしまいます。
いかがだったでしょうか?
歯並びの良し悪しは歯並びの遺伝的な要因のほかに日常何となくしてしまっている、今回ご紹介した癖が原因で悪影響が出てしまうこともあります。
お子様をはじめとして、ご本人では意識していない分、なかなか気がつきにくいものです。
仕上げ磨きをしているときや、日常の癖に気がついた時はどうぞお気軽に桜新町グリーン歯科・矯正歯科までご相談ください。