歯はなんのために磨くのか
こんにちは。歯科医師の新熊志野です。
今日は歯はなぜ磨かないといけないのかについてお話ししたいと思います。
歯を磨く目的いろいろありますが、一番の目的はプラーク(歯垢)をとるためです。
プラークとは食べカスに最近が繁殖したもので白くねばねばしたものです。
プラークには1mgの中にはおよそ300種類一億個もの細菌がいます。
食後8時間程度でプラークができるといわれています。
食後、プラークの中のミュータンス菌や乳酸菌の働きで酸性に傾き歯のカルシウムを溶かします。これを脱灰とよびます。
プラークがすぐ取り除かれれば歯は再石灰化し自然に修復することもありますが、
プラークが取り除かれず脱灰を繰り返し深い位置まで歯を溶かしてしまった状態をむし歯とよびます。
またプラークは歯の表面だけではなく歯と歯茎の境にもたまります。プラークが長時間滞在し、歯石になります。
歯石自体は石灰化したものなのでそこまで悪影響はありませんが歯石は形がいびつなのでよりプラークがたまりやすくなります。
プラークが歯周ポケットの深くに長く滞在してると歯を支えている歯槽骨を溶かします。これを歯周病とよびます。
また口臭の原因になることもあります。プラークが口臭の原因物質の硫化水素、メチルメルカプタンという匂いの強い物質を作ります。
またむし歯や歯周病が原因でこれも原因になることもあります。
お口の中にプラークをためないためには毎日の歯磨きが大切です。
プラークの段階であれば歯ブラシや歯間ブラシ、フロスのセルフケアでとれますので、日々のケアが不安な方はお気軽にご相談ください。
歯科の豆知識🦷
国宝の「病草紙」という平安末期の絵巻物には楊枝を使っている女官の場面があります。
題名は「口臭の女」
その内容は
「一人の美しい女がいた。女にひかれる男たちは彼女に近づこうとした。しかし、近づくと、とたんに鼻をつまんで逃げ出してしまう。耐えがたい口の臭さなのだ」
絵巻には着物を着た楊枝を使う女官と、着物のたもとで口を覆う2人の女官が描かれています。
女官は楊枝を使い口臭をとろうと必死なのでしょう。
楊枝がどこまでプラークをとる効果があるのかは定かではありませんが、きっとささやかなものでしょう。手軽に毎日の口腔ケアを行える現代の時代に感謝です。