小児矯正の実症例をお見せします。
こんにちは、院長の岡本です。
前回は小さいお子さんが歯医者の治療に取り組むやり方や小児歯科の在り方について書きました。
今回は小児(13歳前のお子さん)の歯並び治療およびかみ合わせ治療について書いていこうと思います。
子どもの矯正を前期矯正ともいいます
それに対し、大人の歯(永久歯)が全部生えてから直す矯正は、後期矯正(成人矯正)といいます。
後期矯正については、大人の矯正の項目をご覧下さい。
子どもの成長期、6歳くらいから11歳くらいまでの乳歯と永久歯が混在している状態での矯正について以下に紹介します。
この時期に前期矯正をすることにより
90%のお子さんが後期矯正をしなくて良いようになります。
(矯正開始の年齢が遅れるとまれに後期矯正へ移行することがあります)
前期矯正とは
子どもの成長をうまくコントロールすることにより、治していく矯正です。
まずは、取り外しができる床矯正で治していくことを試みます。
床矯正には、拡大床や、バイオネーター、FKOなどいろいろな矯正器具を患者様に合わせてお作りします。
その後、6ヶ月から1年してまだ、動かし方が足りない場合には、次の拡大床を使ったり、ブラケットを一部に使ったりして矯正をしていきます。
治療としては・・・
顎が狭い ⇒ 顎を広げます。
かみ合わせが深い ⇒ かみ合わせを高くします。
かみ合わせが浅い ⇒ かみ合わせを低くします。
歯並びがガタガタしている ⇒ まずは床矯正、その後ブラケットをつける矯正をしていきます。
お子様の歯並びで気になる事がある方はお気軽にご相談ください。
お問い合わせフォームは
https://www.greendental.tokyo/contact/
小児矯正と成人矯正(中学生~)の判断
小児(小学生)のうちは、ちょうど顎の成長期とも重なります。
通常、小学1年生つまり6歳のころは、第一大臼歯(6歳臼歯)が生えて、次に下の前歯→上の前歯、そして小臼歯が10歳ころに生え変わります。
このころは、成長も大きいため、小児矯正はこの成長が大きい頃に成長を利用してはじめる訳です。
成長を利用するということは、ゆっくりとその成長に合わせて歯を動かすことになります。
小児矯正の場合には、入れ歯のような取り外しができる矯正装置をします。
その後、歯の軸がずれている場合には、ブラケットをつけた矯正をします。
小児矯正は、成長を利用する矯正のため、治療期間は成長期間に応じて長くなります。
成長に合わせて、ゆっくりと広げる矯正のためです。
乳歯しか生えていない状態から永久歯が生えそろうまで、その成長を待ち、それに応じてゆっくりと歯並びを改善していくわけです。
例えば小学1年生のころは、顎の大きさは誰でも小さいのです。
しかし、中学1年生になれば誰でも小学生のころに比べると大きくなりますよね。
歯の大きさ(幅)は小学1年でも、中学生でも変わりません。
でも、顎の大きさは、骨格が大きくなるにつれて、顎も大きくなります。
子どもらしい顔から、少年、少女、そして大人らしい顔に成長するのですから、小児矯正はこの成長を利用して矯正しますので、
どうしてもゆっくりと成長に合わせた矯正が必要になります。
小学6年生もしくは中学1年生にかけて治していくのが
グリーン歯科クリニックにおける小児矯正です。
小児矯正に使う拡大床は、取り外しができます。1日10時間を目安につけます。
寝ている時間に加えてご自宅で勉強や本を読んでいる時間、ゲームやテレビを見ている時間など静かにしている時間に
合計10時間ほどつけていただくと、顎を広げたり、歯を押すことにより、動きます。
ただし、元気がよい男の子は反抗期にぶつかると、拡大床をつけてくれないこともありますから、要注意です。
それに対し、成人矯正(中学生以降)は、ある程度、永久歯が生えたあとに、その永久歯を動かすわけですから、永久歯が生えるのを待つ時間は必要ありません。
そのため、治療期間は1年から2年と比較的治療期間は短くなります。
参考までにグリーン歯科クリニックでは、歯を抜かずに矯正をしていますので、通常の矯正医に比べますとかなり短めです。
状態にもよりますが、矯正期間は他矯正医で3年なら、当院では2年、2年といわれるようなケースでは1年くらいが目安になります。
永久歯が生えてくる前は?(6歳以下の場合は)
乳歯しかない状態でもかみ合わせに問題がある場合はマウスピース(EFライン)、MFT訓練(筋機能訓練)を合わせて行うことで
今後萌出してくる永久歯を正しい位置に導くことができます。
EFLineの詳細について以下のリンクからご覧ください。
https://www.ortho.co.jp/product/efline/
小児矯正の実症例
9歳女の子
主訴:前歯の歯並びが気になる。
診断:前歯部の叢生
治療種類:床矯正
治療期間:2年(通院26回)
治療費:34万税込
リスク・副作用:保定装置をしっかり使わないと後戻りのリスクがあります。
9歳男の子
主訴:前歯の隙間とかみ合わせを診てほしい
診断:正中離開、叢生、すれ違い咬合
治療種類:床矯正+ワイヤー矯正
治療期間:4年(通院50回)
治療費:40万税込
リスク・副作用:保定装置をしっかり使わないと後戻りのリスクがあります。
12歳女の子
主訴:前歯が出ているのが気になる
診断:上顎前突
治療種類:床矯正
治療期間:1年6か月(通院20回)
治療費:30万税込
リスク・副作用:保定装置をしっかり使わないと後戻りのリスクがあります。
9歳女の子
主訴:前歯の重なり気になる
診断:上顎前突、側切歯の舌側傾斜
治療種類:床矯正
治療期間:1年4カ月(通院16回)
治療費:30万税込
リスク・副作用:保定装置をしっかり使わないと後戻りのリスクがあります。
10歳女の子
主訴:前歯の出っ歯が気になる
診断:上顎前突
治療種類:床矯正
治療期間:1年(通院14回)
治療費:34万税込
リスク・副作用:保定装置をしっかり使わないと後戻りのリスクがあります。
床矯正のメリット、デメリットは?
メリット
安く矯正ができます
ブラケット矯正は、都内では80万円から120万円くらいします。
グリーン歯科・クローバー歯科でのブラケット矯正は63万円+税からですので、他の矯正歯科医院よりは相当安くなっています。
ただし、この床矯正は、ブラケット矯正より格段に安くなっています。
グリーン歯科・クローバー歯科では床矯正の基本料金は27万円+税です。
虫歯になりにくいのです
ブラケット矯正は、歯にブラケットを1~2年くらい接着しています。歯に1~2ミリ程度の高さにセラミックや金属でできている突起みたいなものを接着するわけです。
歯ブラシをさぼれば、虫歯ができます。
(グリーン歯科クリニックでは、ブラケット矯正の場合も毎回衛生士が時間をかけてブラッシングができているかのチェックおよびデンタルクリーニングをしますので
多くの患者さまが虫歯はできません。
でもブラッシングをさぼれば虫歯ができますので注意してください。)
床矯正は、寝ているときとテレビやゲームをしているときにするだけですので、
歯ブラシをするのは、床矯正装置をはずしてブラッシングをすればよいので虫歯にはなりにくいのです。
それに、グリーン歯科クリニックでは床矯正の調整のたびに衛生士のブラッシングチェックおよびクリーニングの時間がありますので
本当に虫歯ができにくくなります。
成長期にうまく動かしますので、無理のない自然な矯正です
ブラケット矯正は、多くの場合、永久歯が生えそろってからする矯正になります。
そのため、すべての歯を積極的に3次元的に動かすことができ、治療期間も短くなります。
(ブラケット矯正は、グリーン歯科クリニック の平均では1年6ヶ月くらいになります。)
それに対し、床矯正は成長をコントロールしながら矯正をするため、成長に合わせてゆっくりと矯正する方法です。
ですから、歯の負担はほとんどなく、歯根が短くなるということもまずありません。
大体、小学生のうち、つまり永久歯が生えそろうまでが床矯正の治療期間になることが多いのです。
デメリット
本人の協力が必須です
お母さんが、お子さんの歯並びを治したくて、当院に来院することがよくあります。
でも、そのお子さん自身が歯並びに全く興味がない場合もあり、その際には矯正治療自体をおすすめしていません。
歯並びを治すということは、どういうことなのか、そして歯並びを治すことがどんなにすばらしいことかは説明します。
でも、全く興味がなく、今の歯並びが気に入っていることもあります。
無理に、矯正を始めても、床矯正装置ははずすことができる装置ですから、矯正を無理に始めても、この装置をつけなければ全く意味がありません。
ですから、矯正をするのに本人が矯正したい方のみ矯正をすることにしています。
限界がある場合もあります
床矯正ができるのは、顎が狭い場合に顎を広げることと、歯を押したり引っ張ったりすることです。
つまり、3次元的に歯を動かすことができるわけではないのです。
歯の軸がずれている場合や引っかかって動きにくくなっている場合など、床矯正のみでは治らない場合があることも事実です。
その際には一部の歯のみにブラケットをつけて、矯正をしていきます。
いかがでしたでしょうか。
歯並びはいつでも治療できますが、その時期にしかできない矯正もあります。
ぜひご相談ください。